「懐剣」とは、読んで字のごとく「ふところ(懐)刀」のことです。
昔は護身のために懐に入れて短刀を持ち歩いたため、懐剣と呼ばれるようになったのだとか。 現在では、七五三や花嫁さんの衣装の装飾品として用いられます。
上の写真は、七五三・男児・羽織袴セットの懐剣です。
七五三・男児の懐剣
男児の懐剣は、帯と袴の間に挿します。
七五三・男児(三歳・五歳)の懐剣は、袴&袴下帯&お守り袋とお揃いの「懐剣袋」に入っていることが多いです。
中が気になって紐を解いてしまうお子さんが多いのですが、本物の刀が入っている訳ではなくて、段ボール紙や樹脂製の筒が入っています。 あくまで「飾り」の懐剣なので、紐を解かないように御注意ください。
万一、懐剣の飾り紐が解けた時は、結び方・巻き方を七五三のページでご紹介していますので、ご覧ください。
十三参り&小学校卒業式・男児の懐剣
最近は、十三参りや小学校の卒業式に「羽織袴」を着用される男の子さんが増えています。
ジュニア用の袴姿の場合も、七五三同様に懐剣を飾ることがあります。
ただし、5歳用の懐剣ではサイズ的に小さいと思いますので、サイズが合わない時には無くても良いです。
特に卒業式は、あまり華美になるのは避けたいところですし、邪魔にもなるのでいらないかなーと思います。
花嫁さんの懐剣
打ち掛けを着る際には、白無垢・色打掛ともに懐剣を帯に挿します。
これは、打ち掛けが「武家の婦人の礼装」であったことの名残です。 武家の女性は、いざという時のために「短刀を入れて」携帯していたからなんですね。
花嫁の懐剣は、「嫁入り短刀」とも呼ばれ、万一貞操を失いそうになった場合に「その短刀で貞操を守り通すように」との意味合いも持つそうです。 単なる護身用というだけではないということですね。 この風習は、江戸時代に武家や貴族の間で始まり、そこから庶民へと広がっていきました。
「武家の娘が嫁に出る時には、錦袋に短刀を入れて携行する」という風習が、庶民の間で儀礼的なものへと変化してゆき「打ち掛け衣装の小物」の一つとして、現代に引き継がれているということです。
花嫁さんの衣装として、「本振袖」を着ることもあります。
その際筥迫や扇子は使いますが、懐剣を挿すことはあまり無かったそうなのですが、最近は写真用にお使いになる場合もあるようで。 和装の流行も、時代とともに少しづつ変わっています。
懐剣には「魔除け」のお守りという意味合いもありますので、成人式・十三参りで持つというのもアリだとは思いますが、女性の場合、ご婚礼の打ち掛け以外で懐剣を挿すシーンはほとんどないかも? 実際に成人式で懐剣をお使いになっている方を、お見掛けしたことがありません。
「懐剣」がもつ意味合い的なことも考えて。 成人式や十三参りに用いるのであれば、筥迫や扇子の方が、どちらかというとおすすめではあります。 もちろん、使用しなくて構いません。
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