【鼈甲】べっ甲(べっこう)

白べっ甲の簪装身具

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鼈甲(べっ甲・べっこう)は、南洋に生息するウミガメの一種「タイマイ」の甲羅を素材として作られた工芸品です。

江戸鼈甲屋さんの帯留めや簪

江戸鼈甲屋さんの帯留めや簪

和装の装身具品としては、簪(かんざし)・帯留(おびどめ)・根付(ねつけ)などがありますが、現代では眼鏡・時計の素材としても人気がある他、ネックレスやブローチ・バングルなどのアクセサリー類も多くみられます。

鼈甲の時計

鼈甲を使った時計

◆取材させていただいた江戸鼈甲屋さんはこちら
>>創業二百年の江戸鼈甲屋さん

鼈甲(べっこう)とは

赤道付近の暖かい海に生息するタイマイというウミガメの甲羅を使ってつくられた製品を「べっ甲」と呼びます。
タイマイの甲羅

上の写真は、江戸鼈甲屋さんに見せていただいたタイマイの甲羅です。 「背甲」「腹甲」「爪甲」と部位によって色や表情が違います。

通常カメは「亀」と書き、「鼈」はすっぽんを表すそうですが。 これは江戸時代に贅沢禁止令が出された際、「国内で採れるスッポンの甲羅だったら可」と許しを得たことから、鼈甲と書くようになったのだとか。(本当は渡来品ですが)

拝見したサイトさん:江戸べっ甲TOP >江戸べっ甲とは

鼈甲の色

鼈甲は色によって、呼び名と価値が変わります。

  • 白甲(しろこう):腹甲の飴色部分を使ったもの
  • オレンジ甲(オレンジこう):飴色部分がオレンジ色に近い濃い色
  • 白茨布(しろばらふ):白甲に少し斑が入っているもの
  • 黒甲(くろこう):真っ黒な部分を使ったもの
  • トロ甲(とろこう):茨布ほどまだらがはっきりしていない。霜降りみたいな茶色。(上トロ・中トロ)
  • 茨布(バラフ):斑入りのもの。並茨布・中茨布・上茨布・特上茨布といったランクがある。

希少な白甲が一番高級とされていて、価値も高いそうです。 特に希少な爪甲(つめこう)と呼ばれる部位(甲羅のお尻側の先端)も高価になります。

和装品では、フォーマルには白甲を、普段用には茨布を使います。
白べっ甲の簪

茨布の帯留

本鼈甲と張べっ甲(はりべっこう)

本べっ甲は、べっ甲を素材として使っている製品です。

張べっ甲は、鼈甲3大産地(東京・長崎・大阪)として有名な長崎で、お土産用に作られるようになった工芸品です。 プラスチックやセルロイド等の樹脂に、薄くスライスした鼈甲(主に茨布)を貼り付けたもので、鼈甲張り(べっこうばり)とも言います。

鼈甲張簪

上の写真は、ワタシが30年くらい前に買った簪です。 当時で12000円くらいでしたので、鼈甲張りと思います。 本鼈甲に比べると、だいぶお安く手に入ります。

樹脂以外にも、水牛の角を使った張鼈甲の品もあるそうです。

色を染めた鼈甲

江戸鼈甲屋さんに「草木染」で紅く染められた鼈甲と、「藍染め」で緑色に染まった鼈甲を見せていただきました。

草木染の鼈甲

藍染めの鼈甲

鼈甲というと、飴色・黒・まだら模様と思っていましたが、今はいろいろなカラーの鼈甲製品があるんですね。
鼈甲の飴色・黒・まだら

カラーの鼈甲の例

蒔絵や螺鈿が施された鼈甲

本べっ甲をベースとして、金蒔絵や螺鈿細工が施されていたり、珊瑚や真珠で装飾されているような製品もあります。
蒔絵簪

蒔絵簪が仕上がるまでの工程が、額に入って飾られていました。
蒔絵簪の工程

職人さんの技が駆使された、素晴らしい伝統工芸品です。

鼈甲の虫食いと手入れ

亀の甲羅である鼈甲は、亀の成長とともに大きく育ちます。 人間の髪や爪と一緒です。

タンパク質でできているので、ウールのように虫に喰われる心配があります。
虫食い簪

やわらかい素材なのでキズも付きますし、汗や皮脂でツヤも消えます。
鼈甲の経年変化

使用する際は、水や油を避け、使用後はやわらかい布で、しっかりと乾拭きをしてください。
長期保管する際は、防虫剤と一緒に仕舞うようにしてください。

艶が消えたり、虫食いができてしまった場合は、職人さんに依頼してキレイに修復してもらうことが可能です。
鼈甲メンテナンス

お手入れしていただいた体験レポは、こちらでどうぞ。

https://kimono-kirunara.com/bekko-syuuri-obidome/

今後、ますます貴重になる鼈甲製品

現在、ワシントン条約によりタイマイの国際商業取引が禁止されています。(国内での商取引には規制はありません。)
なので、今の日本は、1992年以前に輸入したタイマイの甲羅を使っているという状況であり、今後ますます鼈甲は希少になっていくであろうと言われています。

鼈甲の価値(価格)は、主に『色と厚さ』で決まるそうです。
薄い甲羅を、1枚1枚張り合わせて厚みを出していくわけなので、厚ければ厚いほど多くの材料が必要となるためです。

国内でも、タイマイの養殖が行われるようになっているとのことですが、現状は「養殖の方が高価」というくらい生産数が少ないため、安価な養殖鼈甲が出回るようになるのは、まだまだ遠い未来のお話かもしれません。

また、伝統工芸品としての「匠の技」の伝承も、危惧されているところではないかと思います。 こうした見事な鼈甲細工を作ることができる職人さんもまた、少なくなっているのだと伺いました。
匠の簪

珊瑚の花簪

肌当たりも良く、熱でしっとりと曲がるために着け心地も最高という鼈甲は、とても魅力的な装身具と思います。
着物好きな方にはなおさらですね。 ぜひ、お気に入りを大事に使っていただきたいです。

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江戸鼈甲屋さんにお邪魔した際の様子です。

コメント

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