着物>部位名称>かたあげ(肩揚げ・肩上げ)
かたあげ(肩揚げ・肩上げ)とは
「肩上げ(かたあげ)」とは、子どもの着物の裄丈 (ゆきたけ) の長さを調節するためにとる肩のつまみ(タック)のことです。 肩揚げとも書きます。
子どもの浴衣や甚平、 七五三の祝着など。 市販品は、すでに肩上げをした状態で(縫ってある)売られていることが多いですが、お子さんの体格によって、また成長によって合わない場合は、肩上げを縫い直してあげてください。(市販品の肩上げは、ざっくり仮縫い状態になっていることもあります。その場合も、二目落としで縫い直すとキレイに着れます。)
肩上げや腰上げとは、子どもの成長に合わせて長さ(丈)を調節する役目があり、「わざわざ着物を仕立て直さなくても、手軽に長く着られるように」というものなので、大人の着物には「肩上げ」はありません。 そのせいか、肩上げが上がっていると、見た目も可愛らしく(子どもらしく)見えるような気がしますね。
十三参りと肩揚げ(肩上げ)
13歳で行う「十三参り(数えの12歳)」のお祝いでは、大人と同じ仕立て方をした「本裁ち(ほんだち)の着物」に肩上げをして着るのが習わしとなっています。
知恵を授けてくださる虚空蔵菩薩さまにお参りし、その後は肩上げを外して着物を仕舞います。 肩上げのない着物を着るようになると、大人の仲間入りということですね。
十三参りは主に関西圏で行われているお祝いなので、「しない」という方も多かもしれません。 関東では、七五三詣りをしますので、十三参りの風習はありませんでしたが、近年、両方される方も増えているようです。
舞妓さんと肩揚げ(肩上げ)
「十三参りまでは肩揚げをして、その後は肩揚げはしないできものを着る」と話をした際に、「舞妓さんは?18歳くらいで、肩揚げをしているけど?」と問われたことがあります。
現在では、中学卒業後でないと舞妓さんにはなれないそうですが、昔は9~12歳でお座敷に上がり、芸妓修行を積んだそうです。 ですので、舞妓さん達は肩上げをした振袖を着ていたのです。
舞妓さんの着物は、今でも昔のしきたりが守られているんですね。 ですので、実際の年齢ではなく、舞妓さん・芸奴さんで、肩揚げをするかしないかが違います。
子どもの着物の肩揚げは、必ずしないといけないか?
「十三参りまでは肩揚げをする」となると、現在で肩上げを外した着物を着るというのは、だいたい中学生くらいからということになりますね。
ただしこれは、儀礼的な意味合いのある「晴着」に対しての慣習で、ウールの着物や浴衣のような「普段着きもの」であれば、こだわらなくても良いと言われています。
普段着きものの肩上げ
下の写真の絣柄ウールの着物は、ワタシの弟たちのお古です。 (写真は我が家の息子達なので、叔父さんの着物を着ているということになりますね。)
実家の母は「肩上げ・腰揚げを毎年縫い直して、最後は全部おろしてもツンツルテンになった。 そのくらい、何度も着ていた着物」と言っていました。
浴衣やウールのような普段着でしたら、本人(家族)が良いのであれば、揚げはしなくても構わないです。
子どもは成長が早いので、あまり細かいことを気にせずに、サイズが合うなら「肩上げの無い大人用の着物」を着てしまっても良いですし、肩上げを全部下ろせばまだ着れる!といったサイズ感のキッズ浴衣の場合も、着れるうちは着てもらっちゃいましょう。
晴れ着の肩上げ
お節句や七五三の着物(晴着)の肩上げも、近年は「サイズが合わないなら、揚げなくても良い」とおっしゃる方が増えているようなので、それもありかと思いますが。
肩揚げには、サイズを調節するといった便宜用の意味合いの他に「子どもの成長を祈る」という縁起担ぎもあるため、『5ミリでもいいから、揚げたいわね』とベテラン着付師さんがおっしゃっていたことがあります。
「揚げを取らない=もう成長しない」ということになるので、七五三や十三参りのような「子どもの成長を祝う儀式」で着る着物は、多少裄丈が短くなったとしても、揚げるべきという考え方です。
見た目を取るか?縁起を担ぐか? ご家族の考え方かな~と思います。
肩揚げのやり方と肩揚げの関連記事
肩揚げの上げ方(縫い方)については、別途詳しく書いていますので、こちらからご覧ください。
子供ゆかた。既存の肩揚げを縫い直してサイズを調節しました。簡単な肩揚げのやり方とサイズ合わせのご紹介です。
以前書いた七五三の晴れ着の肩揚げについての記事です。
こちら。 肩揚げのやり方も、簡単に書いています。
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