きもの・帯の柄>植物>菖蒲・花菖蒲(しょうぶ・はなしょうぶ)、杜若(燕子花・かきつばた)
菖蒲(あやめ)と菖蒲と花菖蒲
昔は「あやめ」と呼んでいたものが、最近では菖蒲(しょうぶ)と呼ぶことが多いようですが、実は菖蒲には読み方がふた通りあるそうでして、「菖蒲」と書いて「しょうぶ」とも「あやめ」とも読むそうなのです。
さらに言えば「花菖蒲(はなしょうぶ)」という種類もあって、あやめと花菖蒲も別物です。
あやめは花びらの元のところが「網状の模様」になっていますが、花菖蒲は花びらの元のところが黄色なのだそうですよ。
端午の節句に菖蒲の葉を入れた「菖蒲湯」に入って、邪気を払うという風習がありますが、この時に使う「葉菖蒲」も、花の咲かない別モノであるそうです。
厄除けにも用いられる「菖蒲」と葉の形が似ているので、菖蒲の字を当てて「あやめ」としたそうなのですが、「菖蒲=しょうぶ・あやめ」とはややこしいですね。
あやめと菖蒲(葉)と花菖蒲は、実はそれぞれ別の植物だということも知らなかったので、調べてみてびっくりしました。 菖蒲に花が咲いた状態を「花菖蒲」と言うのだと思っていました。
和服の柄(文様)としてのあやめ・しょうぶ・かきつばた
着物や帯の柄としての菖蒲は、花・茎・葉が用いられることが多いです。
流水とともに描かれたり、四季折々の草花とともに表現されたりします。
ところが、あやめは水はけのよい乾燥した土地に自生する植物で、池や湖などの近くでは育たないとのこと。 これもびっくり。 水辺や流水と描かれている場合は、花菖蒲か杜若(かきつばた)であるようです。
杜若(燕子花)も、あやめや花菖蒲とよく似た花ですが、こちらは水辺の中で育ちます。 ちなみに花菖蒲は、湿地帯や水辺近くを好むそうです。
- 菖蒲 = あやめ しょうぶの字を当てていることから、あやめを菖蒲とも呼ぶ。
- 菖蒲 しょうぶ(葉・菖蒲湯に使う。 厄除けになる。 勝負とかけて縁起物)
- 花菖蒲 =はなしょうぶ。 花びらの根元が黄色。 古典にはない。
- 杜若 = かきつばた。 燕子花とも書く。 花びらの根元が網状。 水を好む。
あやめ・菖蒲・杜若の違いについて、わかりやすいサイトさんは、こちらをどうぞ。
いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)
「いずれ菖蒲か杜若」とは、よく言ったものですね。
- どちらもよく似た美しさで、区別がしにくいこと。
- どちらも素晴らしいので、甲乙つけがたい。 選べないこと。
この慣用句は、美しい女性をアヤメとカキツバタに例えて、どちらが美しいか決められない・選べないという意味になるそうですが、古典に由来する「いずれ菖蒲」となると、複数の美女の中から選び難いという意になるとのことです。
このあたり、古典と菖蒲・杜若の関係について書かれた興味深い記事を見つけましたので、興味のある方はぜひ、ご覧ください。
いずれ菖蒲か杜若という慣用句は「美女」に使う文言ですが、和服の柄を意識して考えると↓こんな感じに思えますね(笑)
八ツ橋(有名な歌物語に登場する)や流水と描かれている場合は「杜若」の可能性が高いとのことですが、刺繍や型染になってしまうと、花の根元が網状か?黄色か?なんてわからないことが多いですし、もう、どれだっていいんじゃね?って感じですね。
菖蒲・花菖蒲・杜若(燕子花)の模様の季節
春か、初夏か、盛夏か?というのは、着物や帯の素材によると思います。
絽に描かれていれば、盛夏もしくは春単衣時期の後半からですし。
上の刺繍帯のような芯入り九寸帯ならば、4月5月あたりが最適かなーと思います。
皇后陛下は、5月11日の園遊会に御召しになっておられました。 陛下のお着物は「花菖蒲」柄とのことで、なるほど確かに、花びらの根元が黄色く描かれておりました。 花菖蒲の花の時期は「5月中旬~6月下旬」ということなので、先取で素敵!
和服の柄としての「菖蒲や杜若」の使用については、↓こちらのサイトさんがわかりやすいです。
ぜひどうぞ!
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