柄>植物文様>桐(きり)
桐(きり)とは
桐と言うと、ワタシは花よりも、むしろ「箪笥」や「衣装箱」の方を思い浮かべてしまいますが(笑)
桐の花は、薄紫色で5月ごろに咲きます。
清少納言が枕草子で「桐の木の花、紫に咲きたるは、なほをかしきに・・・・・・」と記述していますが、この件に登場する鳥は鳳凰です。 中国から伝わった「鳳凰は桐の木に住み、竹の実を食べる」というお話があり、この言い伝えに由来して「桐竹鳳凰」という吉祥文様ができたと言われています。
「桐竹鳳凰」文様の例 |
※中国で鳳凰が済むというのは「アオギリ(梧桐)」ですが、日本の紋様の桐は「白桐」であり、実際は桐の種類が違います。
桐を使用する季節
桐の花が咲くのは初夏ですが、吉祥文様であることから、和服の柄としては通年利用されます。
中世以降、桐は「吉祥文」として天皇の御衣にも使われるようになり、菊紋と並んで皇室の家紋であったそうなのですが、その後戦国大名達が家紋に用いるようになったため、皇室専用の家紋は「菊紋章」のみとなりました。 現在では、日本国政府の紋章となっているそうで、赤坂離宮内部の装飾に使われているのを見たことがあります。
もうひとつ、ワタシは「桐」というと『花札』が浮かんでしまったりもするのですけど(笑)
ちなみに、花札の「桐と鳳凰」は12月の札なのは「一年の最後を締めくくる」にふさわしい雅で尊い絵柄であるからではないか?という説があるようです。
なんとなく「花札≠高貴」で相反するイメージがある気もしますが、ちょっと面白い解釈だなーと思いました。
桐紋
家紋に使われる桐文は、3枚の葉に3つの花房のものが多いです。
上の家紋は「丸に五三桐(ごさんのきり)」で、花房の真ん中が5、両脇が3になっています。桐紋の中でも、1番多い家紋だそうです。
花房が、真ん中7、両脇5のものを「五七桐(ごしちのきり)」と言います。 太閤桐と呼ばれる五七桐・五三桐の紋があり、これは豊臣秀吉が用いた紋という由縁があります。
踊り桐(おどりぎり)
着物や帯の柄として使用される桐は、花房が長く、揺れるように描かれるものが多いため、「踊り桐」と呼ばれています。
高貴なイメージのある桐文様は、晴れ着に使われることも多く、古典柄に良く見られます。