袷の着物から単衣の着物へ、そして薄物へ。キモノの衣替えについてです。
4月・5月に単衣の着物を着る場合には、袷用の帯&袷用の小物で良いですが。 6月・9月の「単衣時期」は、夏の小物も合わせます。
毎年毎年「どうするんだっけ?」と迷いますので、備忘録として書いておくことにしました。 ワタシ自身の私見ですが、よろしかったらご参考までに♪
和装の衣替え・早見表
分かりやすいようにと表にしてみました。 東京が目安ですので、地域によっては違うと思います。 詳細は後述していますので、ぜひ文末までご覧ください。
■PCはクリックで大きく見れます。
単衣着物を着る時期
一応、着物についても書きますね。
単衣の着物を着るのは、6月1日~9月30日までです。 7月と8月は、薄物という夏の着物を着ます。 フォーマル(礼装)は、このルールを守るべきとされています。
一方、小紋や紬のような普段用キモノは、4月下旬くらいから着始める方が多いです。(関東ならGWあたりから) もちろん、その日の気温によります。 暑くなければ、袷の時期には袷を着ます。(当たり前ですが)
- 袷時期に単衣の着物を着る場合には、帯も小物(帯締め・帯揚げ・半衿)も袷用になります。
- ウールや木綿の着物は、単衣仕立てが基本です。 季節によって、生地の質感や厚さを変えますが、素材で言えば通年単衣で着るキモノです。 5月6月に着る木綿なら、しじら織りや綿紬のゆかたのような薄手のものを。
単衣の着物に向きとされているのは、裏まで柄が通った生地です。 めくれた時に「いかにも裏地が見えた」という違和感が無いものが良いとされています。
生地に凹凸がある、シャリ感があるなど。 薄地だけれど、肌にはりつかない素材感のものがオススメです。 化繊の場合は、涼感のあるものを。
単衣の着物に着る長襦袢
単衣の着物に着る長襦袢についてです。(下着ですし、見えない部分ではありますので、普段着の長襦袢は、個人の自由とも言われていますが、一般的なところを書いています。)
- 袷の時期には、袖無双・胴単衣の長襦袢を着ます。
(全裏付きの袷長襦袢でも構いません。) - 暖かくなってきたら、単衣袖の長襦袢になります。
- 5月に入ると、絽縮緬とか、東雲縮緬(しののめちりめん)などでも。
- 6月は、絽・紗の長襦袢がおすすめです。(堅絽・横絽・紋絽など)
- 7月&8月の盛夏は、麻の長襦袢が涼しいです。 麻絽の襦袢は盛夏用です。
- 色付きの麻(平織り)は単衣時期に。(真冬以外のスリーシーズンお召しになる方もいらっしゃいます。) 盛夏はキモノが透けるので、白色の長襦袢がお勧めです。
- 汗をかく時期は、化繊の長襦袢も便利ですが、ポリエステルは暑い! なので、東レシルックの爽竹みたいな「涼感」のあるものがお勧めです。 きもの英(はなぶさ)さんも人気があります。
※絽の着物には、絽の襦袢。 麻の着物(上布)には、麻の襦袢。これが涼しいと言われますが、絶対ではないです。
長襦袢については、別途「キモノ着るなら」に書いていますので、こちらをどうぞ。
単衣の着物に締める帯
単衣の着物に締める帯についてです。
- 4月5月10月に着る単衣の場合>>軽やかで、暑苦しく見えない帯(袷と兼用)
ex:塩瀬帯、博多織帯、薄手の八寸名古屋帯、木綿の帯、半幅帯 - 6月上旬>>上と同じ。
- 6月下旬>>夏帯(羅・麻は除く)
ex:塩瀬絽、絽綴れ、紗の帯、半幅帯 - 7月8月(盛夏)>>夏帯
- 9月上旬(10日くらいまで)>>6月下旬に同じ。
- 9月中旬>>秋の気配を感じさせる、軽やかな帯
ex:塩瀬帯、博多織帯、薄手の八寸名古屋帯、木綿の帯、半幅帯 - 10月以降>>袷の帯
実際に「どんな帯がオススメなのか?」と写真を入れると長くなるので、改めて別途書きます。
単衣の着物に合わせる帯揚げ
単衣の着物に合わせる帯揚げについてです。
5月末までは袷用です。色・柄・素材は、その日の着物や帯に合わせて決めます。
6月上旬:袷用の軽やかな帯に
6月上旬は、袷用の軽やかな帯に合わせますので、楊柳や絽縮緬、竪絽(経絽)など。 楊柳・絽縮緬は単衣限定の素材だそうです。 竪絽は、緯絽(横絽)よりも季節先取で使えます。
絽目は無くても、薄手で涼し気な縮緬・綸子の帯揚げは、単衣に使えます。
薄手でキレイな色のうずら縮緬は、単衣時期にはぴったりですね。
通年使える織り分けタイプの帯揚げも、オイシイかも♪
6月下旬の帯揚げと、盛夏の帯揚げ
6月下旬は、絽綴れや塩瀬絽の夏帯ですから、帯にあった夏用の帯揚げをします。 6月中は絽縮緬も使えます。
7月8月は盛夏用の帯揚げです。 紗・紋紗・変わり絽・麻絽など、半衿と帯との兼ね合いで素材感を選びましょう。
以下、リサイクルで買っているので「何絽なのか?」確証がありませんが、手持ちの夏用帯揚げを撮ってみました。 透け感が強く、涼し気に見える帯揚げは盛夏用と思います。
光沢のあるものは、やわらかい着物に。 素材感があるものは、夏紬に合うと思っています。 どうしても着物や帯に合わないときには、絽縮緬や竪絽も使います。
長襦袢や薄物の端切れを、帯揚げとして使うこともあります。
紋紗 紋紗アップ 絽縮緬? 絽縮緬?アップ 緯絽 緯絽アップ
そういえば、麻絽の帯揚げを持っていません。 1枚欲しいなぁ!
9月の帯揚げ
9月になったら、秋の気配を意識します。
10日頃までは、まだ残暑が厳しいので、6月下旬と同じ感じで、色や柄を秋向けのものに。
10日過ぎたら、6月上旬や4月5月のひとえと同じ、軽めの袷用にシフトします。
絽縮緬 絽縮緬アップ 絽縮緬 絽縮緬アップ 楊柳 楊柳アップ
秋草(萩・ススキ・女郎花など)や紅葉は、盛夏にも良く合う柄ですが、単衣で使うなら「秋単衣」向きと思っています。 紅葉は「楓」と言えば初夏モチーフなので、どっちもイケます♪
単衣の着物に合わせる帯締め
帯締め(レース編みのぞく)は、特に季節による決まり事がないので、細めでほっこり系では無いものならば、単衣時期でも盛夏でも使えます。
ひとえにおすすめと言われる「冠組(ゆるぎ)」帯締め
おすすめは「冠組(ゆるぎ)」の帯締めで、通年使用可と言われている優れものです。
盛夏用「レース編み」の帯締め
レースの帯締めは、夏用です。 7月8月限定と言われています。
丸組の夏用帯締めは、目が詰まっているものの方が、先取で使える気がします。 ワタシは6月半ばあたりから解禁してます~
以下、ワタシ的に「ひとえ向きかなー」と思う帯締めを撮りました。 春~初夏は明るい色、秋は濃いめの色が良いと思います。
帯留めで季節感を出す「三分紐」
三分紐もまた、通年使える帯締めの一種です。
季節感のある帯留は、該当する季節よりも少し先取で使うのが粋ですね。
夏には、ガラスや水晶、翡翠などの透け感のあるものが合います。
赤珊瑚は冬用と聞いたことがありますが、白ならいいかな? 鼈甲は通年良いかと思っています。
三分紐は、ゆかたにも!
浴衣(ゆかた)の半幅帯に三分紐+帯留めをするのも素敵です。 三分紐にもいろいろなものがありますが、ゆかたに使うのであれば、シンプルで細めのものが合うと思います。
単衣の着物に合わせる半衿
■クリックで大きく見れます。
和装の衣替えは、半衿・帯揚げから入ると言われます。
- 帯は袷用でも、半衿と帯揚げはひとえ用に。
- 帯が夏帯でも、半衿と帯揚げはひとえ用に。
先に小物を変えてから、帯→着物の衣替えをするということです。
半衿の場合、平織りの塩瀬の半衿であれば、9月半ば~5月末まで使えます。
6月1日~は絽の半衿ですが、絽半衿にもいろいろなものがありますので。 6月上旬であれば、絽目が狭くて、あまり薄すぎないものが良いと思います。
帯揚げ同様に、絽縮緬や楊柳、竪絽の半衿があればベストです。
麻絽の半衿は、盛夏限定です。
素材別:絽の半衿の例
リサイクルで新古品の半衿を安く見かけたら、買うようにしています。
下は、正絹・東レシルック(化繊)・交織(絹と化繊)の絽の半衿です。
交織の絽半衿には、絹と化繊の他、綿が入ったものもあります。綿が入ると、少し厚手でカジュアルな風合いになります。
麻絽の半衿は、盛夏用です。 麻の帯には、麻が合う気がします。
変わったところでは↓こんな半衿もあるんですね。 紋紗の麻襦袢についていたものです。
素材は何でしょ? 凸凹があるので、肌にはりつかない分涼し気ですが、薄物用というよりは単衣用かな~ よく見ると絽目もあるので、しじらや綿紬のゆかたをキモノとして着る場合など、良いかもしれません。
夏に向くビーズの半衿・レースの半衿
ビーズの半衿も、単衣の着物に良く合います。(通年OKと言われる半衿です)
少し衿が厚くなりますが、ひんやりとして気持ちが良いし、汗汚れが付きにくい点が魅力ですね。
レースの半衿は、「通年OK」とおっしゃるかたと「夏用でしょ?」とおっしゃる方。 2つの声があるようですが。
レースにもいろいろあるので、爽やかな感じの見た目ならば、単衣~夏用に。 こってり・ゴージャス(重め)ならば袷用に。 と使い分けするのが良さそうです。
ワタシが持っているレースは、単衣~夏用かなぁ。 ちなみに、透け感のないレースは、盛夏には向かないようです。
ちなみにコットンレースのこちら↓は、夏用の半衿だそうです。
考とさせていただいた書籍とサイトをご紹介
以上、単衣きものの衣替えとあわせる小物について書きました。 あくまでワタシの私見ですので「それ、違いますよ!」と気づかれた方は、ぜひお知らせください。
たくさんの本やサイトさんを参考とさせていただきましたが、主だったものを書いておきますね。
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