織り>博多織(はかたおり)
博多織(はかたおり)は、福岡市の博多で生産される日本三大織物の一つです。
2018年に博多織伝来777周年を迎えた歴史ある織物で、経済産業大臣指定伝統的工芸品に認定をされています。
博多織(はかたおり)とは
博多織りは、細い経糸(たていと)を6000~7000本と多く用いて、太い緯糸(よこいと)を筬(おさ)で強く打ち込んで織るため、横に畝(うね)が見えます。
緯糸で模様を織り出すのではなく、主に経糸を浮かせて柄を織り出す点が、他の織物とは違う博多織の特徴です。
博多織の絹鳴り
たくさんの経糸にしっかりと打ち込まれた太い緯糸で織った博多織は、ハリとしなやかさを併せ持ち、丈夫で締まりの良い帯です。 身体に馴染み、解きやすいので、帯だけでなく、伊達締めも大変人気があります。
締める時に、キュッキュと絹鳴りの音がするのは、博多織の大きな魅力の一つですね。
キュッと締まって緩みにくい博多織帯は、脇差し(刀)を挿すのに最適だったため、江戸時代に武士が好んで締めた帯とも言われています。
博多織七品目
伝統的な技法を受け継ぐ博多織には、その模様や織りの技法のちょっとした違いによって「博多織七品目」と呼ばれる種類があります。
- 献上(けんじょう)/変わり献上
- 平博多(ひらはかた)
- 間道(かんどう)
- 総浮け(そううけ)
- 綟り織(もじりおり)
- 重ね織(かさねおり)
- 絵緯博多(えぬきはかた)
※詳しくは、博多織工業組合さん「博多織の証」ページ(下部)に画像付きで掲載されていますので、こちらでどうぞ。
中でも「博多献上」とか「献上博多」と呼ばれる上質な献上柄の帯は有名ですね。
献上柄については、別途書きます。
博多織(はかたおり)の証紙
以下の商標は「博多織工業組合」により商標登録されていて、博多織製品には、博多織工業組合が発行した証紙が貼付されています。
上の写真は「緑証紙」で、2012年6月以前の旧タイプの証紙です。 以前は、金・緑・紫・青の4タイプがあり、色によって使用されている絹糸が区別されていました。
金証紙:不純物を20%取り除いた、上質の生糸使用。 (経糸・緯糸ともに本絹) ⇒さらに以前は「銀」証紙
緑証紙:生糸100%使用で織られたもの (経糸は本絹・緯糸は、本絹以外の絹)
紫証紙:経糸・緯糸とも、絹紡糸で織られたもの。 (経糸・緯糸ともに本絹以外のもの)
青証紙:化繊や麻・綿などの天然繊維(絹以外の繊維)
現在は金・青の2色証紙で、伝統的技法が使われているものには「伝統マーク」が。手織り製品には「手織之証」が貼付されているそうです。
金証紙:絹50%以上使用
青証紙:絹50%未満使用
※博多織工業組合公式サイト・博多織の証より
ワタシが所持している博多織の証紙付き帯は、どれも古いタイプのものなので、こんな感じの証紙になっていましたよ。
博多織に限った話ではありませんが、証紙はとても大事です。 見た目で「帯の織り・質」はなかなか判別できません。 ましてや絹の割合なんてわかりませんから、証紙があるかないかで、その価値はかなり左右いたします。(特に転売する場合)
親・子・孫と3世代で使えると言われる博多織なので、ぜひ証紙も大切に保管してください。
博多織(はかたおり)帯の種類
博多織の帯には、袋帯・名古屋帯・半幅帯・角帯等があります。(その他には、軽装帯や踊り帯・細帯など)
献上柄の袋帯・名古屋帯は全通のものが多いですが、柄によっては六通のものもあるようです。
上の写真(楽市きもの館・正絹 博多袋帯 梅樹蝶丸小袖・六通)のような袋帯なら、フォーマル~よそ行きに使えるそうです。金銀使いのあるものや、格調高い柄ゆきのものですね。
独鈷華皿(どっこはなさら)縞紋様の献上博多帯は、基本的には「カジュアル向け」の帯なので、礼装用にはなりません。 浴衣・紬・小紋など、普段着や街着の着物に合わせて締めてください。
ただし、男性用の角帯の場合は話が別です。 柄にもよるかと思いますが、献上柄などは、仙台平や錦織の袴に併せてフォーマルな袴下帯として使用できます。
博多織(はかたおり)半幅帯:単(ひとえ)と小袋帯
浴衣や木綿・ウール・小紋などに締める「博多織の半幅帯(四寸帯)」には、小袋帯タイプと単タイプとあります。
小袋帯
小袋帯は、表と裏で袋状になっていて、リバーシブルで使えるタイプが多いです。
先が房状になっているタイプもあります。(房はそのまま出しても、折って隠して結んでも可)
単(ひとえ)帯
単(ひとえ)帯は、帯端だけ2枚になっているものと、通しで1枚になっているものがあります。
下の写真は、帯端のみ2枚になっているタイプです。
端まで1枚になっている場合は、両端を少し裏側に折ってかがっておくと良いです。(ほつれ防止)
1枚なので、薄くて柔らかい帯です。 締めやすいですが、厚みがないためボリューム感はありません。 どちらかと言うと、浴衣向き。 羽織の下に締めるのに適しているとも言われています。(羽織は脱がない前提)
名古屋帯用の八寸サイズの単衣帯も昔は良く見かけましたが、最近では珍しい帯となりました。
博多織(はかたおり)帯の季節
博多織の帯は、一般的に「通年使える帯」と言われていますが、帯の質感や色柄にもよるようです。
最近では、献上博多の名古屋帯など、盛夏(7月・8月)は「紗献上」のように透け感のあるものの方が相応しいとされています。
やはり、見た目に暑い色や厚手のタイプは、袷の時期が似合う気がします。
博多織の帯?いろいろ
証紙が無いので、博多織という確証はないのですが、手持ちの帯の中から「多分これもきっと博多織の帯」と思うものをあげておきます。
↓姉妹サイトの「博多織」関連記事です。
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