卒業式の袴の着付けに必要なもの・あると良いもの。
卒業式の袴の着付け、どんな着付け小物を使うのか?を解説します。
レンタルの場合は、自分で持って行かなくてはいけないものをリストにして教えていただけると思うので、その指示に従ってください。
美容院や写真館に着付けをお願いする場合にも、「お持ち込みリスト」として必要なものを書いた一覧をいただけると思います。
本記事では、「リストに書かれているコレ、なんだろう? 何に使うんだろう?」と疑問に思った際や、ご自身やお家の方に着付けていただく際の参考としていただければ幸いです。
卒業式袴の「お持ち込みリスト」の例
着物 | 二尺袖・振袖・色無地・小紋など。 |
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長襦袢 | 半衿付きで、着物と裄丈・袖丈があっているもの。 |
袴下帯 | ウールやポリエステルの半幅帯。夏素材でなければ、浴衣用で可。 |
重ね衿(伊達衿) | 無くても良いですが、入れると華やかになります。着物と帯とカラーコーデしてください。 |
帯板 | 帯が柔らかい場合に使います。厚手の帯なら無くても可。幅も長さも短めのもの。浴衣用のメッシュタイプで可。 |
肌襦袢 | ワンピースタイプでも可。成人式で使ったもので可。 |
裾除け | 肌襦袢がワンピースタイプでない場合に必要です。 |
腰紐 | 5本と指定されることが多いようですが、4本でも。内1本は、ウエストゴムベルトでも可。 |
伊達締め | 2本。マジックベルトタイプでも良いですが、1本は博多織りだとなお良いかも。1本は浴衣用メッシュでも可。 |
衿芯 | 振袖用で可。 |
コーリンベルト | 1本あれば十分ですが、お持ちでしたら2本。着付け師さんによっては、使わない方もいらっしゃいます。 |
足袋 | 成人式のもので可。ブーツの場合はタイツかストッキング。(靴下を重ねても可) |
補整用:タオル | 薄手のタオル(粗品の浴用タオルが良いです。)3枚~5枚くらい。 |
補整用:脱脂綿 | カットされていないタイプ。成人式で使ったもので可。薬局で買えます。 |
補整用:巻きガーゼ | 成人式で使ったもので可。3~5mくらい。薬局で買えます。 |
草履かブーツ | 草履・ブーツ、どちらでも可。お好みで。 |
バッグか巾着袋 | 着物や草履と合えば、成人式で使ったバッグで可。 |
中に着る下着・インナーウエアについて
着物を着る時は、長襦袢の下に「肌襦袢と裾除け」を着ます。 ワンピース型のものもあるので、どちらでも構いません。 成人式の振袖に使ったものがあれば、 同じモノで大丈夫です。
卒業式が行われる時期は、2月・3月と寒いので、肌襦袢の中には「襟ぐりの開いたヒートテック」のような肌着を着こんで構いません。 首が詰まっていると着物の衿から出てしまうので、 前後ろとも開いているものを選んでください。 透ける訳ではないので、色は何色でも構いません。
■肌襦袢の中に着る下着の一例
※長そでだと折って短くしないと袖口から出てしまうので、7分袖くらいがおすすめです。
ヒートテックの下には、和装ブラをしていただくと胸元がキレイに仕上がります。 お持ちでない場合には、ワイヤーナシのスポーツブラをしましょう。
お胸にボリュームの無い方は「カップ付きインナー」でも良いですが、バストのある方は、カップ付きも避けてください。
補整に使うものについて
袴の着付けの場合、振袖ほどがっつり補整はしませんが、ウエストタオルや胸元の脱脂綿など、多少はした方が仕上がりがキレイです。 お持ち込みリストにも記載があると思います。
タオル
タオルの必要枚数は、その方の体格やタオルの厚さなどでも変わってきますので、余分を見て5枚くらいあると良いと思います。
■オススメは粗品の浴用タオルです。
時々「ハンドタオル」をたくさん持ってこられる方がいらっしゃいますが、短いと胴に巻けないので使えません。
やたらと分厚い上等なタオルも、なんだかモコモコと太って見えてしまいかねないため、薄くて長めのものが使いやすいです。 1~2枚くらい、切っても惜しくないタオルがあると、脱脂綿が足りない時などに便利です。
腰パッドをお持ちの場合は、ぜひお持ちになってください。 その分タオル・紐が少なくて済みます。
脱脂綿と巻きガーゼ
成人式で振袖を着た方は、その際に用意したものがあるかと思います。 使い回しで構いません。
持ち込みリストに「ガーゼ5メートル」などと書かれていたりしますが、実際にはそんなに長くは必要ないです。 ご自身の胴回りを3周巻けるくらいがあれば良いと思います。
その他に、ガーゼで「胸当て」という当て布にしたりもしますから、プラス1メートルくらいあると良いかな。 胸当ては、晒布でも大丈夫です。(むしろ晒が使いやすい)
脱脂綿は、まれにカットされたタイプをお持ちになられる方がいらっしゃいますが、ノーカットのロールタイプをご用意ください。 成人式で、着付師さんがカットされたものであれば、 切ってあっても構いません。
長襦袢と半衿について
長襦袢のサイズ
レンタルの場合は、着物とセットで長襦袢を用意していただけると思うので、問題ないと思いますが。
メルカリで着物だけ買った・家にある着物を着るなどの場合には、長襦袢の裄丈・袖丈は着物とサイズが合っているか?をチェックをしてください。 着物の袖丈は二尺(約76cm)なのに、長襦袢は49㎝(一般的な小紋や紬の袖丈)では困ります。
長襦袢の場合、裾は袴で隠れますから、身丈はあまり気にしなくて大丈夫です。 裄丈も、長い分には肩や袖でつまんで調整可能です。(あまりに短いのはNG)
ですが、袖丈だけは合っていないと着られませんので、ご注意ください (せいぜい数センチの誤差ならなんとかOK)
長襦袢の半衿
長襦袢の半衿は、着物に合わせて選んでください。
振袖を合せる場合は、成人式の半衿のままで問題ないと思います。
◆振袖と半衿
撮影:ふりそでモード町田店さんにて
新しく長襦袢に半衿を付ける場合は、白い無地でも構いません。 塩瀬か縮緬の無地や可愛い刺繍入りタイプがおすすめです。
◆白い半衿の例
撮影:キモノサローネ展示イベントにて
◆刺繍半衿の例
半衿のデザインで、意外と雰囲気が変わりますので、全体的なバランスを見て決めてください。
着物と伊達衿について
卒業式の袴に合わせる着物については、別ページに書いてますので、こちらでどうぞ。
袴に合う着物について。
卒業式に袴を着ける際、合わせる着物はどんな着物が良いのか?というお話です。
伊達衿(重ね衿・比翼衿とも言う)は、付けても付けなくても構いません。
衿元に色味を足すことで、華やかに見えますので、衿元がちょっと寂しく見える時には、伊達衿を入れると良いです。 また、 振袖のように豪華でフォーマル度の高い着物の場合には、入れることの方が多いです。
逆に、衿元を重たくしたくない場合には、伊達衿は入れない方がスッキリ見えて好ましいです。
卒業式袴の帯について
袴に着ける帯のことを「袴下帯(はかました帯)」と言います。
袴の前紐の上にほんの2cm程度見えるだけの帯ですが、帯の色で全体を引き締めることができるので、コーディネートでは大事な役目を果たしてくれます。
■袴下帯のイメージ
半幅帯(幅約15cm)を使うことが多いですが、細帯(約12㎝)を使うこともあります。
素材は「ポリエステル製」のものを使うことがほとんどですが、ウールや正絹のものを使ったりもします。
袋状に仕立てられた「リバーシブルタイプ」の半幅帯が人気ですが、単衣の浴衣帯を使うこともあります。 素材が夏専用(麻や羅織り)の帯でなければ、浴衣用で構いません。
卒業式の袴について
卒業式に使う女性の袴は、女袴(おんなばかま)・行燈袴(あんどんはかま)と言って、スカート式のタイプです。
◆こんな風にめくれるのが行燈袴
◆股があるタイプを「馬乗り袴」と言います。
素材は、ポリエステルやウールのものがほとんどですね。
デザインは、無地・ぼかし(グラデーション)・刺繍入りなどがありますが、学生さんが卒業式で着る場合には、どれを選んでも大丈夫です。
先生や来賓の立場でのご出席ならば、正式とされる無地の袴が良いと思います。
卒業式の草履やブーツ、バッグについて
卒業式の袴に合わせる草履やブーツ・バッグや巾着袋については、別ページに書いてますので、こちらでどうぞ。
卒業袴のブーツとバッグについて。
卒業式に袴を着ける際の履物やバッグについてです。 ブーツと草履はどちらを選ぶ?
その他、袴の着付け小物について
袴の着付けに使う小物についてです。
帯板
袴の着付けに使う帯板は、短め・小さめのものが適しています。
振袖用の帯板でも使えますが、大きく長い帯板よりは小ぶりの方が着ていて楽かと思います。 浴衣に使うメッシュタイプの帯板でも構いません。
◆振袖用の帯板(前板と後板)
◆浴衣着付けセットの帯板イメージ
袴の帯は、前紐の上にほんの少ししか出しませんので、厚い帯・硬い帯なら帯板は無くても良いです。 厚紙でも代用できます。
※帯板についてはこちらもご覧ください。
帯板(おびいた)について。
帯板(おびいた)とは。 前板・後板の使い方。厚紙を使った作り方。
袴の腰紐
着付師さんにもよりますが、腰紐は「長襦袢に1本、着物に2本、補整用に1本、念のため1~2本」と考えて、4~5本で指定されることが多いようです。
◆袴の腰紐とウエストゴムベルト・コーリンベルト
腰紐の代わりにウエストゴムベルトを使ったり、コーリンベルト(キモノベルト)を使うこともあります。 その場合は、腰紐自体の本数は少なくて済みます。
※腰紐についてはこちらもご覧ください。
腰紐(こしひも)について。
腰ひもとは? 腰ひもは、どんなものが何本くらい必要か。
袴の伊達締め
通常伊達締めは、長襦袢に1本・着物に1本で計2本使います。
博多織・マジックテープタイプ・浴衣用のメッシュなど、いろいろな伊達締めがありますが、袴の着付けの場合は、どの伊達締めでも良いと思います。 振袖ほどがっちりと着物を押さえる必要がないからです。
個人的には、博多織のように紐で結ぶタイプが1本あると嬉しいなーと思いますケド。
◆博多織とマジックテープタイプの伊達締めの例
レンタル用袴の二尺袖の着物などは、おはしょりを取らなくて良いように身丈が短いものも多いので、その場合はかなり着付けも楽にできます。
※伊達締めについてはこちらもご覧ください。
伊達締め(だてじめ)について。
伊達締めと伊達巻きについて。 伊達締めの種類と使い方。
袴の衿芯
袴の着付けに使う衿芯は、振袖用や紬・小紋などの普段用着物と同じもので構いません。
二本入りで売られていることが多いですが、1本あれば大丈夫です。
少し前までは、ハーフアップのダウンヘアの方が多く、衿芯は入れずに着物の衣紋を抜かない着付けもしましたけれど。
最近では、振袖と同じくらい衣紋を抜いている方も多いので、衿芯は必要になっています。
上の写真の衿芯は硬めなので、もう少し薄くやわらかいタイプやメッシュタイプの衿芯でも良いと思います。
袴のコーリンベルト(キモノベルト)
着物用に1本あれば十分です。 紐を使って、コーリンベルトは使わないという着付師さんもいらっしゃいます。
長襦袢と着物の両方に1つづつお使いになる方もいらっしゃるので、お持ちであれば、2本持参されても良いと思います。
◆コーリンベルトについてはこちらもご覧ください。
コーリンベルト・キモノベルトについて。
コーリンベルトとは。 コーリンベルトの使い方。
袴の足袋・靴下
袴に草履をはく場合は、足袋。 ブーツを履く場合は、ストッキング・タイツ・靴下になります。
別ページでもご案内していますので、こちらも併せてご覧ください。
卒業式袴ブーツの靴下・タイツ・ストッキング
卒業式の袴にブーツを履く場合のタイツや靴下。
卒業式袴草履の足袋とストッキング等
卒業式の袴に草履を履く場合の足袋とストッキングなど。足袋の防寒などについても。
外部で着付けをしていただく場合、余分に持ち込んで、使わなかったものはお預かりいただける場合は良いですが、当日荷物になってしまうのは困りますね。 足りないものがあると、当日購入なんてことにもなりかねないので注意が必要ですが、着付け小物に余分が出ないように用意するのがベストです。
できれば着付けをしてくださる方にあらかじめ見ていただくなどして、事前によく相談をしておきましょう。