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伊達締め(だてじめ)について。着物の着付けに使う和装小物。
キモノの着付「準備リスト」に必ず書かれている「伊達締め」ってどんなもの?
伊達巻きとの違いは?というお話です。
■目次(目的の場所に飛びます)
伊達締め(だてじめ)ってどんなもの?
伊達締め(だてじめ)は、着物の着付けで使う幅広い紐のようなものです。 マジックテープのベルトのようなタイプもあり、長襦袢や着物の上に締めて使います。
衿合わせやおはしょりをおさえて、着物が着崩れないようにするための着付け小物で、いろいろな素材や形状の伊達締めがありますので、着物の種類や着付けの具合によって、使い分けるのが理想的です。
着付の持ち物として「伊達締め2本持ってきて」と言われた場合、「伊達締めならどのタイプでもOK」ではあるのですケド。 着付師さんによって「使いやすいタイプ」が違っていたり、着る方の体型や 着物によって(素材やサイズ感)の使い勝手もありますので、一概に「これがオススメ」とは言えません。
とりあえず、長ささえ足りていれば使うことは可能ですので、お手持ちの伊達締めがあるのでしたら、買い直す必要はないと思います。
ご本人の気持ち的な問題ですが、表に見える(人に見せる)ものではありませんので、シミや汚れがあっても大丈夫です。 喪服用に 黒い伊達締めもありますが、ワタシは白や薄いブルーでも良いと思っています。
マジックベルトタイプのものは、マジックテープが弱っていると外れてしまって使いにくいので、その場合は買いなおすことをお勧めします。
※着付けをお願いする場合は、手持ちの伊達締めを見ていただいて、先方が使いやすいモノを選んでいただくと良いと思います。 複数 お持ちの場合は、事前に持ち込んで見ていただきましょう。
伊達締めの種類
伊達締めにはいろいろなタイプがあります。 ほんの一部ではありますが、ワタシが持っている伊達締めから、いくつかご紹介いたします。
■博多織の伊達締め
アイロンをかけていないので、端がくしゃくしゃのままですみません。 写真(上)のような献上柄の他、花柄や縞を織り出したものもあります。
しなやかでかさばらず、すべらないので、ワタシは博多織の伊達締めが一番好きです。 どんな着物にも使いやすいです。
西村織物さんの金印の伊達締めは、博多の伊達締めの中でも特に使いやすいと評判です。
■マジックテープの伊達締め
成人式の振袖セットに入っている伊達締めは、写真のようなピンク色タイプが多いですね。 着物用と長襦袢用の2本セットになっていて、襦袢用はもう少し 細い伊達締めが入っているのが一般的かと思います。 サイズの合った振袖や附下着物でしたら、マジックテープの2本組みでも問題ないと思いますが、 着物が大きい・着物が重い(質感がある)・伊達衿をたくさん入れる等の場合には、着物をしっかりおさえる必要があるため、伊達締めの一本を 博多織伊達締めのような「紐で締めるタイプ」にしておくと、着付けがしやすいように思います。
■夏物の伊達締め
メッシュや絽など、通気性のある夏物の伊達締めもあります。 あえて夏物を使う必要はありませんが、暑がりな方にはおすすめです。
白いメッシュのマジックテープ伊達締めは、浴衣用のセットに入っていたものです。 浴衣の他、2部式長襦袢のような「ちょっとおさえるだけでOK」 という場合に重宝します。
■芯の入った伊達締め
写真は化繊タイプですが、正絹を使ったタイプやウール(モスリン)のタイプもあります。 芯が入っていますので、半幅帯等で帯板を入れたくないような時に便利です。 お子さんの兵児帯を締める時にも、前がピシっと決まるのでおすすめですよ。
正絹のフォーマル着物で使う場合は、逆に芯がゴロゴロして邪魔になったり、厚みがでてしまったりする場合もありますので、ケースバイケースでお使いください。 化繊タイプは若干すべりますし、紐先にボリュームがでてしまいますので、フォーマル着物には正絹タイプの方がオススメです。
■子ども用伊達締め
キッズ用の伊達締めです。 お持ちでない場合には、ガーゼ晒や手ぬぐいなどで代用して構いません。 やわらかく小ぶりのものなら、大人用を使っても。
■その他の伊達締め
その他、ワタシは持っていないのですが、シャーリングでゴムの入ったタイプや、コーリンベルトを兼ねているタイプ(クリップ付)の伊達締めもあります。
伊達巻きと伊達締めの違い
伊達締めを「伊達巻き」と呼ぶ方もいらっしゃいますが、下の写真のようなものが「だてまき」です。
伊達巻きは、花嫁さんや舞妓さんの「引き袖」で、長襦袢や掛下の着物の着付けに 使います。
長いですし、しっかりした質感なので、慣れないと使いにくいかも?ですが、普段着物に使っていけないことはありません。 しっかりと着付けたい時やぽっちゃりさんの着付けにどうぞ。
■伊達巻きについては、こちらでどうぞ。
伊達巻き(だてまき)とは
伊達巻きは、花嫁さんの婚礼衣装や、舞妓さんの着物の着付けに使います。 伊達締めと似ていますが、長さや質感が違います。
伊達締めの使い方
伊達締め・伊達巻きの使い方は、別ページにまとめました。 ぜひ併せてご覧ください。
長襦袢の胸紐位置で使う。
【長襦袢で使う】コーリンベルト(または胸紐)+伊達締めの使い方。
着物の腰紐位置で使う
【長襦袢で使う】マジックベルトタイプを、胸紐と併用で使います。締める位置は、長着のウエストゴムのくるところです。
和ブラいらずの鳩胸作りに使う
【長襦袢で使う】「きものサローネin日本橋」吉澤暁子先生の《やせ見え補整講座》で教わった、伊達締めで鳩胸を作る方法です。
着丈の長い襦袢に使う
【長襦袢で使う】襦袢の着丈が長い時に、裾(丈)を上げる目的で使う方法です。
振袖襦袢に使う
【長襦袢で使う】振袖の長襦袢は、胸紐で衿をおさえてから伊達締めでしっかりと締めます。写真館で教わった使い方です。
きもの胸紐位置で使う
【きもので使う】写真はレースのきもので恐縮です。振袖や訪問着などで重衿や広衿がボリューミーになる・お胸がふくよかな方の使い方です。
おはしょりを上げる際に使う
【きもので使う】写真が浴衣ですみません。おはしょりが斜めになる(舟形)・長すぎるという時に、伊達締めで上げる使い方です。
伊達巻の使い方
【伊達巻き】伊達巻の使い方です。
伊達締め&伊達巻きの手入れ
伊達締め&伊達巻きのお手入れについてです。
着物を脱いで使い終わった伊達締めは、数時間~一晩くらいハンガーにでもつるしてください。 汗をかいて湿気っていますので、そのまま仕舞うのは良くないです。
基本的には、長襦袢や着物の上に使うものなので、そう頻繁に洗う必要はありません。
でも思った以上に汗をかいて、時には汗でびしょびしょになることもありますし。 長く使っていると、手垢でくすんでもきちゃいますので、 時々はクリーニングに出すか、自宅で手洗いをしていただくのが良いです。
博多織の伊達締めは正絹なので、自宅でのお手入れは心配かと思いますが、着物雑誌七緒(vol.49)では「オブリージュ」という高級洗剤で 洗うと良いと書かれていました。 現在ワタシは「シルク専用の洗剤」を使用していますが、伊達締めはそう度々は洗っていません。
※正絹の伊達締めは、水洗いするとコシがなくなりヘナっとします。 ものによっては、サイズが縮むこともあるようなので、大事な伊達締めはクリーニング店でのお洗濯をおすすめします。
また、化繊やマジックテープタイプのものは、色落ちすることがあるので、ご注意ください。
正絹の帯揚げや帯締めは、自分でベンジンでセルフクリーニングするという話を聞いたことがあるので、伊達締めもベンジンが良いかもしれません。 ただ、手垢のような 油性汚れには有効でしょうが、汗のような水溶性の汚れは取れません。
伊達締め&伊達巻きの収納
伊達締めの収納に特に決まりはありませんが、くるくると丸めておくか、たたんで仕舞っておくとおっしゃる方が多いのではないでしょうか? 頻繁に着物を着られる方は、着付け道具を一式まとめて、カゴや箱に入れておくというのがオススメです。
成人式や七五三等のお祝いで着た後、しばらくは着る予定はないという場合には、湿気の少ない箪笥や収納ボックスに仕舞います。
伊達締めが虫にやられたという話は聞いたことがないので、防虫剤は特にいらないかとは思いますが、ご心配であれば呉服用のものを入れてください。
モスリン(ウール)素材のものは、虫を呼びやすいため、着物と同じ引き出しに仕舞うのはNGです。
着付小物は着付け小物で、着物や襦袢とは分けて収納されるのが良いです。 チャック付の洗濯ネットやジップロックのようなビニール袋に入れても、着付け小物であれば問題ないと思います。
ただし、汗がついたものは保存過程で黄ばみますし、シミが出たり、保管場所によってはカビがついたりしますので、時々は風に当てて たたみ直し等をされることをおすすめします。
「七緒」vol.49は『イマドキ収納実例集』がメインテーマです。 普段着キモノの雑誌ですが、ご参考までにどうぞ。
伊達締め&伊達巻きの購入
伊達締めを買える場所は、以下の通りです。
- ・呉服屋さん、着物レンタル店
- ・amazon、楽天市場、ヤフーショッピングなどの通販サイト。
- ・メルカリ、ラクマなどのフリマアプリ
- ・骨董市やリサイクルの着物屋さん
わざわざ購入しなくても、箪笥の奥にうなるほど仕舞っていらっしゃる方も多いので、お友達やご親せきにお借りしたり・譲っていただくのも良いと思います。
浴衣セットに入っていたものでも使えます。