小学校卒業式で着る女の子の着物と袴。
小学校の卒業式に、着物(卒業袴)で出席することが流行っているそうですね。
レンタルする方が多いと思いますが、お手持ちの着物が小学生の卒業袴に合うかどうか?など、小学校卒業式のジュニア袴に合わせる着物について書きます。
着物レンタル店やネット通販の呉服屋さんにも、『小学生用の卒業袴』のお取り扱いがあるようですが、お手持ちの着物(ママやお姉ちゃん、ご親戚の方がお持ちの着物)がある場合、お家の着物が使えたら助かりますね。
あくまでワタシの私見ですが、ご参考としていただけたら嬉しいです。
小学生の「卒袴」として使える着物かどうか?の判断ポイント
小学生のお子さんが卒業式に着るきもので、大事なポイントは以下の3つだと思います。
- ・サイズが合うかどうか
- ・色・柄がお嬢さんに似合うかどうか
- ・学校の卒業式にふさわしい雰囲気の着物かどうか
和服のマナーやしきたりというものは、昔からの伝統・文化が引き継がれて基本となっている訳ですが、 小学校の卒業式に着物・袴で出席するということは、ここ数年で急に人気となってきたことなので、「昔ながらの決まり」というのがそもそも存在しないのです。
学校制度(教育課程)が今とは全然違うような大昔のことはわかりませんけど、少なくともワタシが子どもの頃には、小学校の卒業式に袴を着て出席した子はいませんでした。
写真館で着付師をしていた頃は、「七五三の女児用袴を幼稚園の卒園式に」という方はいらっしゃいましたけど。 小学校の卒業式の為にお支度(着付け・ヘアメイク)の予約を受けたことはありませんでしたし、レンタルや撮影用の「小学生袴(ジュニア袴)」の用意もなかったです。
◆参考画像:七五三用の袴をご卒園式に。
ということで、最近になって流行り出した「小学生の卒袴」には、明確なルールがありません。 先日、貸衣装屋さんやレンタルスタジオのスタッフさんにお話を伺ってきましたが、短大や大学を卒業されるお嬢さん達が着る「卒業袴」を、そのままジュニア用にスイッチしている感じのようでした。
ですので、色柄やサイズ的に「袴に合う着物」であれば、どれを着ても良いということにはなるのですが。
裄の長さは肩上げで調節するとしても、お姉ちゃんの振袖を借りて袂で道路を掃除するようではいけませんし、 ママやおばあちゃんの地味すぎる色の着物を着せるというのもかわいそうです。
また、学校によっては「袴(着物)での参列を禁止」しているところもあるそうですし、他のお子さんが皆、中学校の制服で出席されるような場合には、 華やかな振袖や二尺袖の着物では浮きまくってしまいますから、ひかえた方が良いかもしれません。
そのあたりは、事前に学校の先生や周囲のお友達のお話を良く聞いて、判断してみてくださいね。 着物・袴で出席される生徒さんが多いようでしたら、お子さんらしい可愛らしい色柄の着物を選ばれると良いと思います。
小学生に似合いそうな着物の色と柄
個人的には、明るい色の可憐な感じの着物が好きですが、これはもう好みの問題ですよね。 ジュニア用の卒業袴のセットを買う場合やレンタルする場合には、カラフルなものからシックなものまでいろいろあるので、当人が気に入った着物で、 なるべく「顔移りの良さそうな色・柄の着物」を選ぶと良いと思います。
ご自宅の着物の中からお子さんの卒業袴合わせる着物を選ぶ際には、着物を羽織ってみて違和感のないものを選んでください。
あまりモダンで大人っぽい柄は、小学生には似合わないと思います。
古典柄やアンティーク柄は良いと思いますが、ゴージャス過ぎ・個性的すぎる着物の場合には、学校の体育館(校舎)で行われる卒業式では
目立ちすぎてしまうかもしれませんのでご注意ください。
できれば少し大き目な飛び柄ですとか、キレイな色の無地に抱き紋付きですとか。 十三参りに誂えるような柄の着物でしたら、サイズ的にもぴったりですし、 色柄もすごく合って、可愛いらしいです。
■十三参り用の着物+袴の例
十三参りの習慣がある地域というのは、そう広くはありませんので、なかなか上手い具合にはいかないですね。
要はお子さんが着て似合っていれば良いのですが、判断しかねる場合には、足袋を買うついでや着付けの予約をする際に、
地元の呉服屋さんや写真館で見ていただくのが間違いないと思います。
レンタルの着物+袴の場合には、大学生や短大生用の卒業袴を肩上げして、そのまま使用するけースもあるようです。 その場合は、あまり大人っぽい柄は避けて、子どもらしい可愛い着物を選んでください。 サイズが合えば、大人用の着物を肩上げして使うことは可能です。
◆小学生の卒業袴にも合いそうな着物の例
小学生の卒業袴で避けた方が良いと思う着物
卒業袴には、いろいろな着物が使えると書きましたが、やめておいた方が良い着物もあります。 ウールや紬のような織の着物です。
◆白大島紬と真綿系紬
漫画「はいからさんが通る」の紅緒さんが、通学等で日常着として袴を着けていたように、もともと袴は学生さんの普段着なので、式典でなければ構わないと思いますけど。
◆ウールの着物(アンサンブル)に袴の例
卒業式は「セレモニー」なので、参列される皆さんが「よそ行きの服装」をされるのでしたら、紬やウールの普段着着物はやめておきましょう。 「みんながスーツを着ているのに、ワタシだけTシャツにジーパンのレベル!」みたいになってしまいますから。
「じゃあ、周りのみんなが普段着っぽい恰好だったら、紬やウールの着物でもいいの?」という疑問が出てくるかもしれないですけど、 そうなると、みんな普段着なのになんで着物?ってことになっちゃう気もします。 「いつも着物を着ていない子どもが、わざわざ着物を着る」ということ自体、 ちょっと特別なことなのですから。 普段着で行われる卒業式に、和服を着ていくというのは不自然な気がします。
着物のサイズが合っているかどうか?のチェックポイント
着物の着丈が長い時には、おはしょりをとったりはしょったりします。 上げた部分は袴で見えなくなりますので、気にしなくても大丈夫です。
気にかけていただきたいのは、裄丈・打ち合わせ(身幅)の2点です。
◆着物のサイズのチェックポイントは裄と幅
(浴衣は十分な前巾と、少し短めの裄丈のイメージで載せました。)
胸元(衿元・打ち合わせ)は、はだけずに、きちんと合せれば大丈夫です。
着物の場合、前巾・後巾の寸法はそれほど気にしなくても良いのですが、あまりに着物の寸法と体格が違う場合には、 充分な打ち合わせが取れなかったり、妙に余ってしまって胸元がキレイにならなかったりします。
お子さんの場合、裄丈が長い分には肩上げで調節できますが、短いと寸法直し(裄だし)をしないといけないので、そう簡単には解決しません。
卒業式もフォーマルなシーンの類であると思いますので、腕をナナメ(45度)に下ろして、手首の小指側の骨がちょうど隠れるくらいがベストです。 普段着や浴衣といった着物はもっと短い裄丈で良いのですけど、改まった席では長めに着るのが一般的なのです。
お子さんですので、多少は裄が短くても良いと思いますが、腕が袖からにょっきり出てしまうようでは恰好が悪く見えます。 手首の骨が5~6センチ出る程度なら許容範囲内かなぁと思いますが、あまり早い時期にサイズ合わせをしてしまいますと、 いざ卒業式で着ようと思った際には短くなっていることがあるので、ご注意ください。 それだけ、子どもの成長は早いってことです。
裄丈がちょっと足りないという場合には、お袖の中で肘をすこし曲げていると目立たなくなりますので、写真を撮る際など気を付けるようにしてあげてください。
小学校の卒業式と十三参りの着物
十三参りは数えで13歳の4月に参拝するそうなので、ちょうど6年生で行う儀式なんですね。
ですので、十三参りでお誂えされたお着物を、その後卒業式でも着たらちょうど良いということになります。
ただ、関西の方は"十三参りで誂えた振袖を、成人式までお使いになる"という話を聞きました。 もしも絵羽模様の豪華な振袖を誂えた場合には、「小学校の卒業式には格が高すぎないか?」という心配もありますので、 十三参りの着物が卒業式に着れるかどうか?は、通っていらしゃる学校次第ですね。
関東では十三参りを行う方が少ないですし、12歳(数えの13歳)で振袖や二尺袖(小振袖)を誂えるという習慣もありません。
勤めていた写真館(東京)でも、十三参りの記念撮影をされる方はまれでしたが、スタジオの撮影用にレンタルされるお着物は、成人式用の振袖ではなくて、 卒業式用の"二尺袖"や小紋柄の愛らしいものを選ばれる方が多かったように記憶しています。
レンタルやネット通販での十三参りの小振り袖やジュニアの卒業袴セットは、ポリエステルのものが多いようですが、 レンタルや仕立て上がりを購入される場合には、化繊で全く構いません。
ですが、お誂えで仕立てられるのでしたら、やはり正絹の着物が素敵ですね♪
■やっぱり素敵!正絹の着物の例
※卒業式の袴を買う場合・レンタルする場合の選び方は、次のページでご紹介します。
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