十三参りの着物と帯。十三参りに着る着物の肩上げや小物、帯結びについて等。
十三参り(じゅうさんまいり)に着る着物と帯。肩上げやコーディネート小物について。
ママの着物や男の子の羽織はかまについても。
■十三参り(じゅうさんまいり)の着物と帯イメージ
十三参りに着る着物
十三参りの着物の肩上げ
十三参り(じゅうさんまいり)に女の子が着る着物は、大人と同じ「本裁ち(ほんだち)の着物です。 お参りが終わった後に、 肩上げを外し、その後はもう肩上げはしないで着物を着ることになります。
昔の京都の方は「十三参りの着物は本裁ちで作って、成人式までずっと着る」という話を聞いたことがありますが、 ここでふと、疑問に思いました。 肩上げを外してしまったら、当然「裄丈(ゆきたけ)は長くなってしまいますので、その長い分はどうするのかしら???
和裁師さんに聞いてみたところ、やっぱり十三参りで着物を誂えるのであれば、「本裁ち」でお仕立てするそうです。 ネットで調べて、 ちょうど十三参りの前後(8歳~16歳くらいまで)用の「本裁ち四つ身」という仕立て方があるということがわかったので、本裁ち四つ身を着ることが可能かどうか?も尋ねてみました。
- ・四つ身(よつみ):前巾で衽を取るつまみ衽。5歳~7歳くらい用
- ・本裁ち四つ身(ほんだちよつみ):別衽を付ける。8歳~16歳くらいまで用
- ・本裁ち(ほんだち):大人の女性用の断ち方(仕立て方)
最近のお嬢さんは体格が良いので、7歳の七五三用の晴れ着を本裁ち四つ身にされる方がいらっしゃるそうですが、7歳と12歳(かぞえ13歳)ではまったく体の 大きさが違ってしまうので、7歳で仕立てた本裁ち四つ身の着物を、そのまま十三参りで着るのは無理があるのでは?ということです。 7歳の晴れ着の腰上げを外したとしても、 十三参りの時には身丈が足りなくなるはずなので、どうしたって一から仕立て直しをすることになるだろうとのこと。
下の写真は、姪っ子です。 4年生と5年生のお正月初詣に【七五三・七歳用】の晴れ着を着てもらいました。 大きめサイズの正絹の着物でなので、肩上げを上げ直したらちょうどでしたが、 6年生で迎えるお正月(2021年)には、小さくて「対丈(ついたけ=おはしょりなしの着付け」でないと着れなさそうです。
◆2019年4年生のお正月
◆2020年5年生のお正月
衣紋を抜かない子どもの着物は、「くりこし寸法(衿の抜き具合に関係する)」も大人の着物とは違いますしね。 お袖の長さを どうするか?という問題もあるので、七五三の晴れ着を十三参りの以降までずっと着るということはできません。
そもそも本裁ちの着物を肩上げして着るのが「十三参り」です。
以前仕事をしていた写真館の先輩着付師さんは、「1cmでも良いから、肩上げはしなくちゃダメ!」とこだわっていらっしゃいました。
ワタシは単純に「肩上げするのが十三参りだから」と思っていましたが、実は肩揚げには理由があって『肩揚げ=子どもが成長をする』という祈りのような意味合いも込められているからなのだ
そうですよ。
肩上げをしないというのは、『もう育たない』ということになるので、あまりよろしくないらしいです。 十三参りが終わるまでは、「子ども」という扱いってことかな~
ゆかたやウールのような普段着キモノは、肩上げナシでお子さんに着せてしまって構いませんが。 フォーマル着物の場合は、私も含めて「 十三参りまでは肩揚げをするもの。」と思っている方は多いような気がします。
ただ「十三参りはしない」という地域の方が圧倒的に多いので、「肩上げは何歳までと決まってはいない」という声もあります。 なので、 14歳や15歳で肩揚げをしたらいけないということでもないのですけど。
しかしながら「肩上げ=子ども」というイメージはやっぱりあるので、中学生になったら肩上げではなく「裄丈直し(裄直し)」でをするのが良いかもしれません。
そう考えると、ある程度カラダの成長が落ち着くまでは、着物のお誂えは待った方が得策なのかもしれないですね。
十三参りにおすすめの着物
幸いにして、十三参りの着物に特に決りはありません。
小紋・色無地・振袖(二尺袖含む)といった着物が使えますから、お家にあるママやお姉ちゃんの着物を着ていただいて大丈夫です。
もちろんレンタルで年齢にあった可愛らしい着物を探すというのもおすすめですが、お家に気に入った着物があるのであれば、お手持ちのものを使ってください。
もしも「大人になる記念に♪」と着物をお誂えするのであれば、のちのちご卒業袴に合わせて着られる「二尺袖(小振袖)」を、 成人式と同じようなサイズ(少し大きめ)で作っておかれるとよいのでは?と思いました。
肩揚げを外すと、15歳や16歳で着るには大きすぎるしれませんが、そのぐらいの年齢で着物を着る機会はそうないと思いますし、お正月用の着物でしたら、 お手頃価格のウールや化繊のプレタの着物でサイズの合ったものを、別途購入していただけば良いと思うからです。
これはワタシの私見ですけど、大人サイズの小紋や色無地の着物であれば、卒業式の後にもいろいろなシーンで着ることができますから、 振袖よりも活躍する場は多そうです。 結婚後も袖を詰めて当分は着られますから(色柄にもよりますが)、かなり長くお役立ちしてくれそうです♪
あくまで仕立てる場合のお話です。 着物を着る機会がそうないのであれば、レンタルが1番手軽であるとは思います。
十三参り用の着物をレンタルするなら、ちょっと大きめの柄&可愛い飛び柄小紋など。 この年齢でしか着れないものを着るのが良いと思います。
◆男の子の十三参りの着物はこちら
十三参り男児の着物
男児が十三参り(じゅうさんまいり)に着る着物と肩上げ。卒業式に着る着物と十三参りの着物について。
十三参りに締める帯と帯結び
フォーマル・セミフォーマル用の着物の場合
十三参りの祝い着には、大人用の「袋帯(ふくろおび)」を使って構いません。 フォーマル・セミフォーマル用の着物であれば、変わり結びのできる柄ゆきの袋帯が良いです。 やわらかめの結びやすい(締めて苦しくなさそうな)帯が良いです。
■十三参りの帯結びの例
十三参りは帯結びにも決りはないので、どんな帯結びでも良いと思いますが、華やかで可愛らしい帯結びがおすすめです。 祝い子である本人が主役なので、立て矢系の帯結び(帯結びの例・下画像)でも構いません。 ご成人式の帯結びより、少し小さめに結んでください。
ワタシ的には、オーソドックスな福良雀をちょっとアレンジしたような帯結びがおすすめです。 十三参りにとても合うと思います。
「十三参りには、小紋・色無地・振袖といった着物が使えます」と書きましたが、着物の種類によって若干帯結びは変わってきます。 振袖でしたら、 少し派手めな変わり結びでも良いですが、小紋や色無地ならもっと控えめな帯結びの方がしっくりきますね。 帯結びについては、また別ページにてご紹介したいと思います。
十三参りの帯結び
十三参りに結ぶ帯結びの例と結び方。
フォーマル・セミフォーマル用の着物の場合
十三参りは着て行く着物を限定しないので、ウールのアンサンブルや銘仙・お召しといったカジュアルな着物でも良いと言われています。(お詣り先にもよりますが)
◆個性的な子ども着物のコーディネートがたくさん紹介されています。
ウールのアンサンブルなら、半幅帯や兵児帯でも良いですね。 ただし、お詣りに行く場所によっては、まわりのお嬢様が振袖やはんなり系小紋ということもあるので、 逆に目立ってしまうこともあるかも?なので、普段着とよそゆき着物、どちらを選ぶか?は、着て行きたい場所も考慮して決めてください。
◆ウールの着物=普段着用の着物になります。
※写真はお正月・近所の神社で。 小学校6年生の姪です。
十三参り着付けと着物の小物
十三参りの晴れ着の着付けやコーディネートは、大人の小紋・無地・振袖といった着物の着付け等とそう変わりはありません。 大きく違うと言えば、着物に肩上げがしてあるくらいでしょうか。
着付けで言うと、帯を胸高に締めるとか、衣紋は大人程抜かない・・・というような違いがあります。 着物に合わせるバッグや草履も、大人用より若干小ぶりなものが合うと思います。
そのほか、半衿に使う刺繍衿や伊達衿などは、着物の雰囲気とお嬢さんの好みで選んで大丈夫です。
十三参りの着物にも、7歳の晴れ着のように「しごき」や「筥迫(はこせこ)」を使うこともあるようですが、無理に用意する必要はありません。
7歳用の筥迫セットをお持ちの場合、サイズ感がお嬢さんに合うようでしたら、7歳用をお使いいただいても構いませんが、「しごきが短い・ 筥迫が小さすぎる」などと思う場合には、無理に使うことはしないでください。
最近では、成人式でも抱え帯を使う方がいらっしゃるので、しごきのかわりに抱え帯を使うというのも良いようです。 着丈が短くておはしょりが上手く 取れない場合には、しごきや抱え帯があると着崩れがしにくくなって便利かと思います。
ワタシが持っている「冠婚葬祭事典」には、十三参りに着物と同色の「被布」を着ても良いと写真が掲載されているのですが、これまでに 十三参り用の被布を実際に見たことはありません。
■3歳用です。被布コートの例
晴れ着をママが着付ける場合で、「帯結びはちょっと自信がないわー」なんて場合には、被布コートは便利だろうなと思うんですけど、 ネットでレンタルを探してみても見つかりませんでした。 残念です~。
十三参りのママの着物
十三参りに付きそうママには、訪問着・色無地・付下げの着物がおすすめです。 主役はお子さんなので、 お子さんが小紋の小振袖であれば、ママの着物の格も下げてくださいね。 格のある小紋や品の良いお召しの着物でも良いと思います。
十三参りのママの装いは、七五三祝いのママの着物に準じます。(季節による柄の違いはご注意ください。)
帯は着物の格に合わせて、袋帯か織りの九寸名古屋帯・袋名古屋帯を締めます。 おめでたい柄や正倉院模様のような格のある 柄の帯を選べば間違いないかと思います。
■七五三祝いのママの着物(付下げ)の例
お子さんが洋装であったり、カジュアル寄りの着物の場合には、ママもカジュアルフォーマルの装いが素敵ですね。
◆京都小泉さんのカジュアルフォーマル(東レシルックの小紋)
お子さんがウールのアンサンブルなら、ママもウールや紬の着物がバランス的に良さそうです。
※本ページ掲載の展示着物は、2017サローネin日本橋・京都染織青年団体協議会さんのブースを撮らせていただいたものです。