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着物と雨の日。雨の日の履物・雨下駄について
目的地までの移動には、特に和装の決まりごとはないそうです。
粋に履ける雨下駄+爪皮をご紹介します。
雨下駄について。
歯の細い2枚歯の雨下駄を「利休下駄・日和下駄」と言います。
※関西では「利休下駄(りきゅうげた)」、関東では「日和下駄(ひよりげた)」と呼ぶそうです。
また、三平ゴムが歯に打ち付けてあると「三平利休」と呼ぶらしいです。 三平ゴムとは、歯に貼ってあるすべり止めのゴムのことです。
■女物・二枚歯の下駄に貼られた「三平ゴム」 |
ちなみに日和下駄に畳表が付いている「吾妻下駄」というのもあるそうです。
吾妻下駄は、江戸末期に「吾妻(あづま)」という遊女が履いて大流行したというもので、関東で小雨や雨上がりの時に履く下駄とのこと。
水気を含みやすいため「雨の日はご法度」とされる畳表を、小降りや雨が降った後に履くだなんて、おしゃれ感半端ないですね。
吾妻下駄というものを見たことはないのですが、利休下駄・日和下駄自体、最近では見かけることがほとんどなくなっているようです。 理由は「ぬかるみを歩くことがほとんどない現代に、歯の細い下駄は必要ない。 アスファルトを歩くには、歩きにくい。」ということのようですケド。
雨下駄には、歯に滑り止めのゴムを付けるとよいとのこと。 写真の下駄はもともとゴム付きの三平利休下駄です。
※ゴムがだいぶ無くなっていますけど~
雨の日に、足袋が汚れないように、爪皮をつけて履きます。
■雨下駄なのに、なぜ「日和(晴天)下駄」と呼ぶのか?
日和下駄は、差し歯低下駄と呼ばれる「差し歯」タイプの低め下駄の部類になるようです。
ワタシにはこの高さでも十分高く感じますが、昔はもっと高い差し歯の下駄を雨の日に履いていたのだそうです。 関西で「高下駄」と呼ばれる下駄のことですね。
それよりも高さの低い「差し歯低下駄」は、晴れの日用。 だから「日和下駄」と呼んで、雨の日の高下駄とは区別していたらしいです。
差し歯下駄とは、二枚の歯を本体に差した作りの下駄を言います。
今は差し歯高下駄を履く人がいなくなり、歯の細い「日和下駄」が雨の日用の下駄になった。 だから、雨下駄なのに「日和下駄」という名前なんですね。 面白いなーと思いました。
ちなみに、昭和50年頃になって登場した「歯が太めで逆台形になった下駄」を「時雨下駄(連歯下駄)」と言うそうです。
雨下駄の履き方。
下の写真は、品川・丸屋履物店さんで、鼻緒のすげ替えをしていただいた際のものです。 この時「足の指先でちょっ鼻緒を挟むくらいでいい。 指の根元まで グイっと入れない。 踵は半分出るくらいの方が粋。」と教えていただきました。
※下駄なので素足で履いてもOKですが、鼻緒をすげ直していただくのでしたら足袋を持っていくべきでした。 ごめんなさい。
雨下駄の爪皮。
爪皮と書いて「つまかわ」と読みます。 爪革と書いたり、爪掛と呼んだりもするようです。
着物や雨コートの色と合わせやすい(コーディネートしやすい)ようにと、最近では「透明タイプの爪皮」が好まれているそうですけど。
ワタシは透明なドームのついた「雨草履」を持っているので、爪皮は色付きタイプの方がいいなーと思いまして、ボルドー色のものを 購入させていただきました。
雨下駄を履くときには、下駄の差し歯の後の歯に爪皮のゴムをかけて。 使わない時には、前の歯にかけておくのだそうです。
実際に雨下駄+爪皮でお出かけした際の写真がこちら。
自己満足ですが、下駄に 爪皮ってカッコイイです♪
雨下駄+爪皮とフォーマル着物。
雨の日の外出で「雨下駄+爪皮」は、フォーマル、普段着を問いません。 シチュエーションはどんなシーンでも大丈夫だそうです。
ただし、履いてて良いのは玄関先までです。 雨の降っていない屋内では、シーンに合った草履に履き替えてください。
あと、2枚歯の下駄というのは履きなれないと歩きにくいものですので、小さなお子様連れのママには向かないですね。 草履(替えたら下駄)を別に持っていないといけないので、荷物を預けられないようなときにも避けた方がよさそうです。
そもそも今は手に入りにくい下駄でもあるので、七五三(ママ)や成人式で使うことはなさそうですね。 雨下駄+爪皮がお家にある場合には、普段着かクロークのあるパーティでお使いください。 雨コートを着て屋外で履く分には、とても素敵な足元を演出できると思います。