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フォーマルな着物で使う髪飾りについて。
フォーマル・セミフォーマルな着物で使う髪飾り。伝統的な簪の種類や、和洋両用で使える髪飾りなど。
ここでは、留袖や訪問着・付下げなどで使うフォーマル・セミフォーマル向けの髪飾りをご紹介したいと思います。 季節やTPOにあった髪飾りで、素敵に装いたいですね!
簪(かんざし)
簪(かんざし)は、結い上げた髪をまとめたり、飾りとして楽しむための装身具です。
その歴史は古く、なんと縄文時代には魔除けとして先の尖った棒状のものを髪に挿したとされています。 「簪」というのは、中国の髪留めをさす漢字だそうで、奈良時代に髪型とともに 伝わりましたが、その後「垂髪(平安貴族の姫のイメージ)」が盛んになったことで、簪は一時衰退します。
髪飾りとしての簪が大きく発展したのは、江戸時代に女性の結髪がポピュラーになってからだそうです。 髪の結い方や簪の付け方で、身分や職業がわかるというほどまでに細分化されたというから、 すごいですね。
現在では「花嫁さんや舞妓さんの日本髪」に、昔の結髪の名残が見られます。
※芸妓さんになるとカツラになります。
以前は、成人式でも日本髪を結う方が多少はいらしたのですけれど、最近はとんとお見かけしなくなってしまいました。
七五三や十三参りでは、日本髪風に髪を上げたお嬢さんが割と多くいらっしゃいますね。 とても素敵と思います。
舞妓さんのような花簪(はなかんざし)は、とても人気がありますが、これは若い女性特有のものなので、ミセスが使うことはありません。
簪の格と素材
結婚式や叙勲など、第一礼装での留袖や色留袖には、格式高い簪が似合います。 べっ甲に金蒔絵や螺鈿細工を施した「伝統的なかんざし」は、風格があり素敵です。
鼈甲は色によって格が違いますので、ご注意ください。
礼装・準礼装向きの白鼈甲
鼈甲の中で、もっとも格が高いのが白甲(しろこう)と呼ばれる「飴色のべっ甲」です。
◆白甲をつかった簪の例
白甲は格が高いと書きましたが、白甲のやわらかい雰囲気は、どちらかと言うと色留袖に合うとおっしゃる方もいらっしゃいます。(黒留袖は、黒甲に蒔絵やパールタイプをおすすめとのこと)
実は白甲でシンプルなデザインのもの(パールや金蒔絵などの装飾がないもの)は、小紋や紬にも使えるそうです。 サイズ感や彫りの意匠にもよりますが、オールマイティーに使えるものが1つ手元にあると便利ですね。
足の部分が黒甲であっても、髪に挿して見えなくなる場合は正装用に使えます。 ただし、白甲は弔事には使えませんので、ご注意ください。 お悔みには、黒鼈甲(黒甲)の控えめなデザインのものをお使いください。
また、まだら模様に斑の入った「茨布(ばらふ)鼈甲」は、普段用なので正装には使いません。
◆茨布をつかった簪の例
白甲に少し斑の入った「白茨布」など、飴色の割合が多い茨布や、蒔絵・パール・慶事用の透かし彫りが施されたものであれば、礼装・準礼装で使えるものもあるとのこと。 使えるかどうか?よくわからない時には、かんざしの専門店にお尋ねになるか、日本髪が結えるようなベテランの美容師さんにご相談になってみてください。
張べっ甲・樹脂の簪
下の写真は、30年前に簪も扱う化粧品店で購入したものです。 親族の結婚式へ参列するために、留袖用に買いました。
◆20代で買った鼈甲張りの簪
ちょっと茨布が入っていますが、一応専門店?で相談して買っていますしね~ パール付きで・飴色部分が多い簪なので、「留袖でも使えるもの」と考えて良いのかなー?と思っています。 って・・・・・・「これは違うよ」と言われましても、30年も前にすでに参列しちゃったのだから、今更しようがないですけどね(苦笑)
ちなみにこちらは「張べっ甲・鼈甲張り」などと呼ばれる「樹脂(アクリル)+鼈甲」のタイプであると思います。 当時は、鼈甲も張鼈甲もわからずに購入しちゃいましたけど、 価格はだいぶお手頃価格でございました。(12000円だったと思います。)
「真物でなく、フェイクでも良いのか?」と言えば、もちろん真物の「本べっ甲」の方が良いですが。 お値段的に軽く一桁違いますので、白甲に模したものであれば、 フェイクでも良いと思います。
多分こちらの簪↓もアクリル製の白甲風かと思いますが、正直気にされない方が多いだろうと思います。(ワタシもその一人♪)
簪の素材については、TPOやお召しになるお着物にもよりますね。 きものや帯は超高級なのに、かんざしだけ安価というのもナンなので、トータルバランスで選んでください。
本鼈甲は修復や磨き直しが可能ですから、古くてもお手元に良い品があるのでしたら、お手入れで蘇らせることをおすすめします。 もしくは「オークションやフリマアプリ利用でお得に買ってメンテナンスをする」というのも一つの手です。
鼈甲とは
【関連記事:装身具>素材>鼈甲(べっこう)】鼈甲(べっ甲・べっこう)は、南洋に生息するウミガメの一種「タイマイ」の甲羅を素材として作られた工芸品です。
べっ甲の修理とお手入れ
【関連記事】「江戸鼈甲屋」さんに虫食い帯留を修復してもらいました♪
蒔絵・螺鈿・珊瑚やパール付きの簪
鼈甲に金蒔絵や螺鈿を施したものや、黒塗り・朱塗りの簪に珊瑚やパールをあしらったものも、フォーマル・セミフォーマルの着物に良く合います。
銀座かなめやさんのサイトを拝見したところ、「黒留袖には、黒べっ甲にパールを添えたかんざしや着物の風合いに合った意匠の金蒔絵のかんざしがおすすめ」と書かれていました。
パールや蒔絵の簪は、豪華なものからモダンなもの、わりとおとなしい雰囲気のものまで、サイズもデザインもいろいろなので、TPOと着物や帯の雰囲気で選んでください。
珊瑚や蒔絵風のものでも、樹脂製でしたらとてもお安く購入できます。 気軽なパーティーなどに♪
※赤い珊瑚が並んだ簪は、振袖やミスの訪問着に相応しいようです。
普段用の簪
玉かんざしは、普段用。 黄楊(つげ)の簪も洒落着用となるそうです。
※玉簪は、モノによって成人式や七五三の髪飾りで使うことがあります。
芸者さんは、黒留袖に珊瑚(夏は翡翠)の玉簪を、櫛や前挿しと一緒に挿して正装とするそうですが、あくまで花柳界の装いであり、一般的には「玉簪=普段の着物用」になります。
白甲や蒔絵を施した玉簪など、訪問着に挿せるタイプもありますが、正装ではなく盛装用とのことなので、パーティーやお出かけにお使いください。
簪の季節と素材
帯留の素材も共通かな~と思いますが、暖かいお色の珊瑚は、冬向けです。
翡翠や水晶、象牙など、透けるような素材や涼し気なものは「夏用」になります。
※夏以外でも使えるそうですが、特に夏がオススメと言う翡翠。 瑪瑙も涼し気なデザインは、夏に向くそう。
夏の弔事には、白水晶ではなく「紫水晶」を使うそうです。 お悔みの場合、髪飾りはいらないかなとも思います。
簪の季節は、素材の他に「モチーフ(絵柄)やデザイン」も重要ですね。 団扇の形の簪は、夏用です。
季節限定柄の簪というのは、あまり無いような気もしますけど。 例えば、植物や風物詩などの柄でしたら、少し季節先取でその時期だけ使うのが粋ですね。
1番わかりやすいのは「涼感があるかどうか?」で、夏用を区別されるのが良いかなーと思います。
簪の種類と使い方
簪の「脚が1本」のものを『一本挿し(いっぽんざし)』、2本のものを『二本挿し』と言います。
一本挿しにもいろいろなタイプがあって、飾りが玉になっているものを「玉簪(たまかんざし)」、平たい丸になっているものを「平打ちかんざし」と言います。
◆櫛と平打ちかんざしのセット:花嫁さんや振袖用
その他、櫛型(くしがた)のものや、髪を巻きつけるタイプの「笄(こうがい)」や、前挿しに使うビラビラのついた「ビラ簪やチリカン」も簪の一種です。
◆前挿し用のビラ簪のイメージ:七五三用
それぞれ用途や挿し方に違いがあるので、別途個別にご紹介させていただきますね。 画像は飛び先でご覧ください。
※ごめんなさい。まだ執筆中です。
笄(こうがい) | 日本髪用。櫛との2点セットや前挿し・後挿しとセットになった4点セット・6点セットがある。 アレンジヘアとして、モダンなヘアに利用も可。 |
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平打ち簪(ひらうちかんざし) | 元々は日本髪の後ろ髪の髷に挿すための簪でしたが、今はシニョンや夜会巻きに使ったり、振袖や七五三のアレンジヘアに組み合わせて使ったりします。 |
玉簪(たまかんざし) | 平打ち簪と同様に、日本髪の後挿しであった簪ですが、カジュアルな着物や浴衣に合うので、挿し方もデザインもバリエーションに富んでいます。 |
バチ型簪(ばちがたかんざし) | |