フォーマル帯で最も格の高い帯。丸帯について。
「幅広く織った帯地を縦二つに折って、芯を入れて仕立てた帯」が丸帯です。 金襴・錦織・唐織等で織られた通し柄で、裏も表も帯全体に柄があるため、とても豪華で重厚な礼装用の帯になります。
昔は礼装用の帯といったら丸帯だったそうで、留袖、振袖も丸帯を使ったそうです。 しかしながら、全面に帯柄のある丸帯は、高価ですし、ずっしりと重くて 扱いにくいことから、昭和初期に「袋帯」が考案されてからは徐々に袋帯に替わっていき、今では礼装用と言えば「袋帯」が主流になっています。
現代で丸帯を使うのは、花嫁さんの本振袖(引き振袖)や、白無垢・色打掛の掛下帯といった婚礼衣装として。 舞妓さんの「だらり帯」くらいだろうと言われています。
■舞妓さんのだらり帯
※前面に柄のある丸帯は、どこから見ても柄が出るのでだらり結びが美しく結べます。
■白無垢用の掛下帯
■白無垢の花嫁さん
丸帯と袋帯の違い。
丸帯は、仕立て上がりの帯幅の倍以上の広幅に織り上げて、二つ折りにして仕立ててあります。
■七五三用の丸帯
一方袋帯はといえば、もともとは「袋状」の輪になるように織られていたことからその名がついたそうですが、最近では裏表を別々に織って、 両端を縫い合わせるという仕立て方をしたものが一般的な「袋帯」になってきています。
袋帯は裏は無地、もしくはあっさりとした柄ゆきの「裏地」になりますので、丸帯よりも薄くて軽いので結びやすいです。 袋帯については別ページで詳しく書きますね。
丸帯 | 幅34cm・長さは4mくらい ※上記七五三帯は、仕立て上がり幅21cm、長さ349cm |
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袋帯 | 幅31cm・長さは4m30cmくらい。 ※近年、さらに長くなっている傾向があります。 |
七五三・7歳晴れ着用の丸帯
最近の7歳さんの祝い着は「作り帯」を使うことが多いですが、手結びする場合でも、平帯は「袋帯」が主流です。 裏地が無地の薄くて 軽い帯の方が結びやすく、着物を着ている本人も楽ですよね。 着物もポリエステル製のものが増えていますが、帯も化繊のものが多く見受けられます。
ですけど、もともと7歳の「帯解き」の祝いは、本裁(ほんだち)の着物を着て、つけ帯を解く儀式です。 昔は袋帯なんてなかったので、帯も丸帯を締めました。
写真館で着付けの仕事をしていた時に、何度かお手持ちの祝い着と一緒に「丸帯」をお持ちになったお客様のお支度をさせていただいたことがありますが、やはり両面総柄の 昔の帯は豪華ですね。 重くて・分厚くて・硬くて結びにくいといった「着付師泣かせの帯」ではあるのですけど、シンプルに文庫やたて矢結びにした丸帯の品格は見事です。
今でも時々骨董市で見かけますが、状態の良い丸帯は希少ですね。 思わず買ってしまいました。
■七五三・7歳用の丸帯
丸帯は、とにかくしっかりした帯が多いので、あまり凝った変わり結びはできません。 真ん中を谷折りにし二山とっただけでも、こんなにがっしりとした羽になってしまいますから。
その分、帯の存在感は半端ないので、文庫やタテ矢結びで十分と思います。
丸帯の結び方
上でご紹介している7歳用の丸帯は、お太鼓用ではありませんのですべての柄が上向きに付いていますが、留袖・色留袖用の丸帯は、二十太鼓で締めることを前提に、 引き抜き帯になっているそうです。 普通の結び方をしてしまうと、お太鼓部分の柄が逆さになってしまいます。
引き抜き帯は、背中で手と垂を結んだ際に、垂先を引き抜かずにそのまま「垂先」として使うように結びます。 そのため、帯の長さが短めでも二十太鼓になるのです。
丸帯の二十太鼓の結び方は、近いうちに丸帯を探してきて、写真入りで説明させていただきますね。
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