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たとう紙とは?着物や帯の収納に使う包み紙「たとう紙(畳紙・文庫紙)」について。
たとう紙は、着物や帯を包む「紙製」の保管用品です。 「呉服屋さんで着物を誂えたり、着物を手入れに出したりした際に、着物や帯が入れたれている もの」といえば、おわかりになるかと思います。
地域によっていろいろな呼び方があるようですが、ここでは「たとう紙(たとうし)」と書かせていただきますね。
地域や意味合いによって違う「たとう紙」の呼び方・書き方。
「着物の保管に使う包み紙」のことを、ワタシは『たとう紙(たとうし)』と呼んでいますが、調べてみるといろいろな呼び方・書き方があるんですね。
多当紙(たとうし)
「多当紙」と書いて「たとうし」とも読むようですが、多当は金封(きんぷう)のことで、祝儀袋、不祝儀袋、熨斗袋(のし袋)、香典袋、慶弔袋などを 表します。 「多当折(東京折)」という金封の折り方から、「たとう」と略して呼んだりもします。
ですが「多当紙」と書くと、着物や髪結いの道具を入れる紙=たとうしの意味合いになるんですね。 『音』が一緒なので、着物のたとう紙を「多当紙」と書くことも あるようですが、「多当」と調べると金封やのし袋の話が検索上位にヒットしますので、ほぉ~♪と思いました。
畳み紙(たたみがみ)・畳紙(たとうがみ)
同じ「畳」という字を使っていても、「み」が入ると読み方が違います。 畳み紙(たたみがみ)と畳紙(たとうがみ)です。
畳紙(たとうがみ)は、衣冠束帯のときに懐中する紙=懐紙を意味もあって、その場合は「帖紙(たとうがみ・たたんがみ)」とも言うそうです。 畳紙と書いて、着物用のたとう紙の意味でも使われます。
畳み紙(たたみがみ)=畳紙です。 「たたみ紙」と書いてしまうと、「たたみ敷き紙」としてのニュアンスが強くなるらしくて 、「衣装敷き(着物の着付けや畳む時に使う敷物)」がたくさんヒットしました。 なんだかちょっとわかりにくくなっちゃいますね。
畳文庫紙(ぶんこし・ぶんこがみ)
関東では「たとう紙」と呼びますが、関西では「文庫紙」と呼ぶのが一般的だと伺いました。
京都では、「衣裳敷紙(着物をたたんだり着付をする時に敷いて使う)」のことを『たとう紙』と呼んで、 仕舞うための包み紙を『文庫紙』と言って区別しているとのこと。
なるほどです。 ワタシは着付けの時に敷く紙を「衣装敷(いしょうじき)」と呼んでいるのですが、「たとう紙」と呼んでいらっしゃる着付けの先生もいらしたので、 不思議に思っていたのです。
◆衣装敷き紙
ちなみに「文庫紙」は、『ぶんこし』と調べると「帳面の表紙(和紙を貼り合わせたもの)」というのが最初にでてきて、『ぶんこがみ』と調べると「 反物や襟地を包む紙」というのが最初にきました。 襟地って、半衿のことかしら???
「呉服文庫紙」とか「着物文庫紙」と書けば、どこでも間違いなく伝わるようですが、『たとう紙・文庫紙』と表現するのが、1番わかりやすいかと思いました。
四つ手
呉服屋さんのブログで拝見しました。 呉服業界の方の呼び方だそうです。 たとう紙を広げると「4つの手」みたいだから?と書かれていました。
松木呉服店さんのブログ 「呉服屋の道具・7 たとう紙(文庫・四つ手)」には、たとう紙の歴史・サイズ・紐の結び方まで、大変詳しく書かれていますので、ぜひご覧になってみてください。
たとう紙の種類(サイズと紙質・窓のありなし)
たとう紙の種類についてです。
サイズ・紙質・窓の有り無しなど、たとうしのバリエーションを調べてみました。
たとう紙のサイズ
たとう紙のサイズは、使用されている紙質や保存用・業務用などによっても、微妙に違ってきたりするようですけど。 ワタシが持っているのは、「着物用(2つ折り用)」「着物3つ折用」「帯用」の3つが多いようでした。
87cm | 着物用(大)2つ折り:背の高い女性、男性用 |
---|---|
83cm | 着物用二つ折り:身長165cm程度までの女性用。 |
64cm | 羽織・着物3つ折り・帯・長襦袢用 |
55cm | 短い羽織用・着物3つ折り用の小サイズ。袋帯用。 |
44cm | 名古屋帯用。着物4つ折り用 |
※その他、半巾帯用や洗い張り後の反物用など、さらに小さなサイズもあります。
たとう紙の幅(縦)は34cm~38cmくらいで、こちらもメーカーさんや紙質・仕様によってばらつきがあります。 基本の幅は35cmだそうです。 実際には、着物に合わせて折り位置を変えることができるので、あまり幅を気にする必要はないと思います。
たとう紙の紙質
たとう紙の紙質は、高級和紙を使ったものから、普段使い用のクラフト紙、ウコン入りなどいろいろあります。
◆クラフト紙のたとう紙
◆厚手和紙のたとう紙
通常「和紙」は、耐久性・耐光性にすぐれるとされる「中性紙」に分類されるそうですが、一口に和紙と言っても、楮やミツマタ(和紙の原料)といった天然 素材を使ったお高いものから、ふすま紙や障子紙の落としを使ったリサイクル紙、化学繊維(人絹)のレーヨン等が入ったもの、クレープ加工された改良紙など、いろいろな紙質があるそうです。
では、どんな紙質の和紙を選ぶべきなのか?・・・・・・って話ですけど。
例えば、呉服屋さんでウン十万円もするような高価な着物を誂えますと、仕立て上がったお着物は、薄紙・台紙付きで、高そうな 「厚手の和紙のたとう紙」に入れられて戻ってきます。
裄直しや丸洗いなど、手持ちの着物のお手入れの後には、業務用のクラフト紙に入ってくることが多いです。
つまり、払った金額に見合ったたとう紙が使われている訳ですが。 そのまま長期保管も前提にするなら「高級和紙のたとう紙」で、単なる「持ち運び用・一時保管用」なら業務用のたとう紙ってことでもあると思っています。
ちなみに、上質な和紙を使ったたとう紙は、着物の水分を吸収してくれるので、安いものより良いそうです。
なるほど!ですが、季節ごとに着物の入れ替えをする人や、頻繁に着物を着る人だったら、クラフト紙のたとう紙でも問題ないとは思います。 着物は、何に包んで仕舞うかよりも、風に当てる・空気にさらすことが大事だからです。 たとう紙もまめに交換するのがオススメです。
実際ワタシは、@93円(税込)というお安いクラフト紙のたとう紙をたくさん使っています。
「一度箪笥や衣装箱に仕舞い込んだら、なかなか出さない」とおっしゃる方は、高価なたとう紙を使うことより、時々は引き出しを開けてあげる・ たとう紙を開いてあげる・交換するといったことを心がけていただきたいと思っています。
高いたとう紙に入れて、そのまんま長く放置するよりは、安いたとう紙をまめに変える方が良いってことです。 ただ、普段着物を着ない方の場合には、それもなかなか難しいかもしれませんね。
その場合は、保管用のきものキーパーをお使いいただくのはどうでしょう?
きものキーパーは、たとう紙のまま2~3枚着物を保存することができる、約5年使用目安の保存袋です。
きちんと密閉させて正しい使い方をすれば、酸素を遮断してくれるそうなので、有効期間内なら和紙の交換も必要ないように思います。
高価な着物・大事な着物は、上質な和紙のたとう紙+きものキーパーでの保管が良いのではないか?と思っています。 (私も最近買ってみました。あまり着る機会のないフォーマル着物の保管用です。)
たとう紙:窓のあり・なし
上の写真のように「窓つき」のたとう紙というものがあります。 窓の位置や形状は、いろいろです。
窓が付いているメリットは、「たとう紙を開かなくても中に入っている着物が見える」という点ですね。 逆にデミリットは、 いろいろな種類のたとう紙を使ってしまうと、積んだ時に窓が探しにくい(無いのもある)ということや、窓がある分価格が高いということが挙げられます。
窓のないたとう紙を使う場合には、たとう紙に内容を記しておくとか、写真やイラストを貼っておくという方法もあります。
たとう紙に文字を書く場合には、着物を汚す心配のない筆記具で書いてくださいね。 シールを貼るというのも良いと思いますが、糊やテープが 劣化するのも心配なので、貼る場所・貼り方にも注意をはらってくださいませ。
たとう紙の柄(デザイン)
たとう紙のデザインは、無地・絵柄入り・文字入りなど、いろいろなものがありますが。 飾っておくようなものでもないので、ワタシは全くこだわりません。
金箔で家紋を入れたり、名前を入れたりというサービスもあるようですので、こだわる方はぜひどうぞ。
たとう紙の使い方(包み方)・選び方。
・たとう紙:使い方(包み方)
たとう紙の使い方は、サイズに関わらず基本的には同じです。
- 着物(帯)を真ん中に置く。
- 左右の「手」を内側に折り、紐を結ぶ(蝶結びか片結び)
- 下の手を折り上げる。
- 上の手をかぶせる。
- 紐を結ぶ。(蝶結びか片結び)
着物に折りアトをつけたくない場合には、綿棒(わたぼう)を入れます。
ワタシは「何がどこにあるか?ぱっと見で分かるようにしたい」ので。 あえて手前を開けて、紐も結ばずにいますけど(そのうち切っちゃおうと思っています)。
これは頻繁に着物を着る方向けになりますね。 この場合でも、和服は蛍光灯でも「ヤケ」て色が変わりますので、扉を閉める・布をかけるといった 配慮は必要になります。
たとう紙に入れる着物は、基本的に「1枚」です。 1枚のたとう紙に何枚も着物を入れたり、着物と帯をセットで入れたりするのは良くないです。 重さで変な跡がついてしまったり、箔がうつってしまったりする危険があるからです。
また、虫をよびやすいウールの着物と正絹の着物を一緒に入れるのは、絶対にやめておきましょう!!
たとう紙:選び方
先日友人に「たとう紙がボロボロになっているので買い替えようと思うんだけど、どんなものがオススメ?」と聞かれました。
前述しました質やデザイン・窓の有無については、お好きなものを好みで選んでいただいて良いと思います。
ワタシが1番重視するのは、たとう紙のサイズです。 何を仕舞うのか? どうやって畳むのか? どこに仕舞うのか? これによって、選ぶたとう紙のサイズが変わってきます。
例えばですけど、左の収納ケースに仕舞うことが前提の場合と、右の桐箪笥に仕舞うことが前提の場合では、畳み方もたとう紙のサイズも違ってくるので、 収納場所に適したサイズを購入するのがおすすめです。
もちろん「大は小を兼ねる」ので、着物二つ折り用を買って、収納場所に合わせて折り直して使うというのもありですけど。
いちいち折るのは大変ですし。 見た目もあまり美しいとは言えませんので、初めから仕舞う場所を決めて合ったサイズを買うのがいいですね。
一度にたくさんのたとう紙を交換するなら、お値段も結構大事と思います。 ネットで買うなら、送料も結構かかりますので、 単価・枚数・送料をトータルで考えて検討してくださいね。
・たとう紙の薄紙と厚紙
たとう紙には、薄紙や台紙(厚紙)がセットになっているタイプのものがあります。
この「薄紙」が必要かどうか?という点ですが。 薄紙に入っている「糊」が虫を呼ぶので、保管の際には外してしまった方が良いと、 以前呉服屋さんに教えていただいたことがあります。
◆以前書いた姉妹サイトの記事
⇒呉服屋さんに聞きました♪着物の収納 その1☆たとう紙の薄紙について~
以来、ワタシは薄紙は外して捨てるようにしています。 中には「着物をやさしく守ってくれる」というご意見もあるようなのですが、薄紙を外してしまっても、 これまで着物に良くないことがあったことはありませんので、いらないかなぁ~っと。
「薄紙」最大の役割は、見た目に高級感を出すことなので。 お誂えで仕上がってきた着物を確認する際に「うわぁ♪素敵~」という 感動はめっちゃ演出してくれますが、保管に関して言えば、特に必要はないみたいです。
じゃあ、厚紙は?という話ですが、こちらも湿気を呼ぶ原因となるため、いらないそうです。 また、紙の中の硫黄成分と糊がガスを発生させて、着物のシミ・カビ ・ヤケ・縮みといったトラブルの原因ともなるので、ガスを発生しやすい厚紙は、長期保存には向かないのだとか。
でもねえ。 「着物の出し入れは厚紙があった方がやりやすい!」という現実もありますので。 ワタシは、その時期の着物(普段用)のたとう紙には、 厚紙をそのまま入れて使っているものも結構あります。 あくまで「箪笥や収納ケースに仕舞い込むなら、厚紙は必要ない」ということです。
薄紙も厚紙も。 接着剤で貼りついていることが多いのですが、たとう紙に穴が開かないように気を付けながら、手で引きはがすようにして外しています。
厚紙の下に、紐が貼ってあることもありますが、この紐も必要ないので取っちゃいます。 無理やり剥がすのでたとう紙にキズが付くのが気になりますが、 着物によろしくないものは、極力取り除いてしまいたいので。
たとう紙のキズが気になる場合は、「漢方敷き」でも敷いておかれると、よろしいかと♪
「薄紙の糊は虫を呼ぶ」と伺って、もう一つ気になったもの。それが「たとう紙の窓のフィルム」なのですけどね。
呉服屋さんにお尋ねしたところ、このフィルムを貼り付けているのは糊ではなくて「接着剤」なので、これはこのままで良いそうなのです。 「なるほどねー! そうか、接着剤は虫も食べないのかーーー!!」と、目からウロコが落ちました。
たとう紙の窓のフィルムを外してしまうと、接着剤の跡がひどく気になってしまいますから。 どうぞそのままにしておいてくださいね。
・たとう紙を変えるタイミング
「たとう紙は、こまめに交換してください」と前述しました。 たとう紙は、どのくらいで交換すればよいのでしょうか?
着物七緒Vol.9には「2シーズン使ったら、取り換え時期と思ったほうが良い」と書いてありました。 2シーズンって半年くらいってことでしょうか?
着物お手入れ専門店「なぎさ屋本舗」さんには「安全と言えるたとう紙は、乾燥剤が入った桐箪笥に保管していたもので、 購入してから1年未満のもの」と書かれていましたし、どうやら年に1度くらいは交換した方が良いみたいです。
たとう紙って、案外「もたない」ものなんですね。 しかしながら、年に一度たとう紙を交換されていらっしゃる方って、少ないような気がします。 特に、着物を着る機会の無い方の方が、「入れっぱなし」になっている可能性が高いのでは?!
以下のような状態のたとう紙をお使いでしたら、すぐに交換した方が良さそうですよ~
- ・たとう紙にシミがある。
- ・たとう紙が黄ばんでいる。
- ・たとう紙が、湿気でやわらかい。
- ・たとう紙がボロボロ。破れているなど。
- ・たとう紙にカビ(黒い点々など)が出ている。
- ・たとう紙が、変な臭いがする。
お誂えの着物の場合は、作っていただいた呉服屋さんのたとう紙に入っていることが多いので、なんとなく「そのまま使い続けたい」気持ちになりますが、 必要だったら、呉服屋さんの店名・電話番号のところを写メしておくとか、控えておくとか・・・・・・
黄ばんだ古いたとう紙は、着物を変色させたりすることもあるので、思い切って捨てちゃってくださいね!
たとう紙を買う
ワタシが最近購入したのは「楽天市場・北九州わっしょいマーケット」さんの87cmと64cmのたとう紙です。
業務用と同じクラフト紙のタイプなので、高級感は無いですが、安さ重視の買い物なので満足しています。
ちなみに、たとう紙を購入できる場所は、次のようなところが挙げられます。
- ・ネット通販(楽天・ヤフー・amazonなど)。
- ・ネット通販(和紙やたとう紙の製造元など)。
- ・呉服屋さん。リサイクルの着物屋さん(扱いのないところもあります。)
- ・着物専門のクリーニング店
- ・ヤフーオークションやメルカリに出店されている専門店。
オークションやメルカリで探す場合は、業者さんが出品している新品のたとう紙を探してくださいね。 1年未満で交換の必要な商品ですから、中古を買っても意味がありません。
業者さんのお取り扱いでも、経年保管された「新古品」はやめましょう。
ネット通販の場合は送料がネックになりますが、「5000円以上で送料無料」とか、 送料無料の商品と抱き合わせで無料」といったケースもあるので、お友達と共同購入されるのも良いと思います。
◆同梱で送料無料。最安値@95円のたとう紙屋さんを見つけました!
ワタシはこのところ、和箪笥に収納している着物については、たとう紙を外してそのまま仕舞っておりましたけど、うっかり入れ過ぎてしまいますと、 箪笥に擦ってしまって着物を傷める危険があるので、やはりたとう紙は必要だなーと思い直しました。
また着物をそのまま重ねていると、出し入れする際に、気が付かずに着物の端が折れたりして、シワを作っていることもありました。
ということで。
「たとう紙」はとても大事ですというお話でした。 正しく使って、着物や帯をいつまでも状態良いままで保管したいものですね。
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