帯枕とは。着付け小物の帯まくらについて。

帯枕(おびまくら)

帯枕と書いて「おびまくら」です。

帯枕は、帯を形作り・背中に固定するために使うもので、上から帯揚げをかぶせますので、見えるものではありませんが。 帯枕のサイズや形を使い分けたり、帯枕にガーゼをかけることで、美しい着姿と快適な着付けにつながるかと思います。


 

帯枕(おびまくら)ってどんなもの?サイズ・形の違い

帯枕(おびまくら)は、帯結びの形を整えたり、背中にピタっと帯を固定するために使います。

着付けで使う帯枕には、サイズ・形・素材・色柄など、いろいろなものがあります。 帯結びの形や大きさによって、または使用感によって 使い分けするのがおすすめですが、1回限りしか使わない場合等は、お手持ちの帯枕で構わないと思います。着付けていただく場合には、事前に着付師さんに見ていただくと良いでしょう。

■振袖の変わり結び・帯枕の使用例(羽を下から支え、立体的に形を整えます。背中につけます。)

帯枕の使用例・振袖変わり結び1
帯枕の使用例・振袖変わり結び2

■二重太鼓結び・帯枕の使用例(お太鼓の形を整え、背中につけます。)

二重太鼓の帯枕使用例

貸衣裳SOUBIEN

帯枕の使い分けに明確な決まりはありませんが、次のようなことが言われています。

■お太鼓まくらについて

  • ・フォーマルやセミフォーマルの二重太鼓(袋帯)には、高めの枕を使うと良い。(厚さ4.5cm~くらい)
  • ・カジュアルな着物のお太鼓結び(名古屋帯)には、低めの枕を使う。
  • ・若い人は、少し高めの枕を。 年配者は、小ぶりで低めの枕がおすすめ。
  • ・背をもたれる場合(乗り物に乗るなど)は、やわらかめの枕を使うと疲れにくい。
  • ・夏場は、通気性の良い「へちま枕」のようなタイプがおすすめ。
  • ・短い帯や、柄だしが難しい帯は、結具(改良枕)を使うと結びやすい。

■変わり結びのまくらについて

  • ・振袖の変わり結びに使う枕は、お太鼓枕(高め)で可。
  • ・蛤(はまぐり)枕は、ふくら雀タイプの変わり結びにおすすめ。
  • ・文庫枕は、文庫結びを結ぶのに良い。
  • ・自装で変わり結びをする際は、結帯具(改良枕)を使うと楽。

別途、帯枕を使う帯・使わない帯などについて書いています。ぜひ併せてご覧ください。

帯枕について

【着付小物】帯枕(おびまくら)とは

帯枕を使う帯と使わない帯。帯枕の歴史など。

↑ PAGE TOP

お太鼓用枕

一重太鼓、二重太鼓といった「お太鼓」系の帯結びをする時に使う枕で、長さ・厚さ・硬さなど、いろいろなタイプのものがあります。

お太鼓枕

帯枕の高さ(厚み)が、お太鼓の仕上がりを左右するので、シーンに合わせて選ぶのが良いです。 一般的に、礼装・準礼装は高め(厚め)にします。

付下げの帯枕の例

そのほか、若い方や大柄な人も大きめのものを。 逆に普段用のお太鼓結びは、少し低めの枕にします。 年配者や小柄な人も、少し小ぶりを選ぶと良いと思います。

帯枕の高さを出す方法

「高めの枕の方が良いけど、手元には低い枕しかない」という場合、手ぬぐいやタオルをかぶせて、高さを調節してみましょう。

■タオルで低い枕を厚くする例

帯枕の高さを出す。

↑ PAGE TOP

結具・改良枕

下の写真のような「結帯具(けったいぐ)」も、帯枕の一種です。 着付けのお教室で、最初に習うことが多いのですが、 メーカー・流派によっていろいろな呼称があるため、「姿枕・改良枕・教材枕」などと呼べば通じるでしょうか?

結帯具・姿枕
改良帯枕について

結帯具・改良帯枕について

結帯具・改良帯枕について、備忘録にも書いていますので、併せてご覧ください。

結帯具は、あらかじめ帯結びの形を作っておいて、背中に背負い上げてから帯を巻くという使い方をするものなので、「他装」で使うことはあまりないように思いますが、枕 部分が取り外しできるタイプも多いので、外せば普通の帯枕として使えます。 その場合は、ガーゼをかけてくださいね。 ガーゼについては後述します。

■外せるタイプの改良帯枕

結帯具・枕を外せるタイプ

↑ PAGE TOP

夏用のへちま枕

帯枕に季節の区別はありませんが、通気性の良い「夏用の帯枕」というのはあります。 へちま枕や空芯才の帯枕です。


どちらかと言えば、頻繁に着物を着る方向けの枕と思いますので、汗ばむ季節に着物を着るからと言って、あえて購入する必要はないと思いますが、 これから着付けを始めようと思う方には良いかもしれません。 ご参考までに。


 

振袖・変わり結び(お太鼓系)用の蛤(はまぐり)枕

下の写真は、振袖等に結ぶ「変わり結び」に良いとされる【蛤(はまぐり)】の帯枕です。

はまぐり枕

蛤(はまぐり)枕は、「振袖用の枕」と言われますが、振袖の変わり結びに必ず「はまぐり」を使うという訳ではありません。  どんな形の帯結びにするのか?で使いやすい枕の形は違ってきます。 はまぐり型は、ふくら雀系の変わり結びに向いている帯枕です。 

ふくら雀帯結びのイメージ

ただ、昨今は袋帯の長さが昔より長くなっていて、やわらかくて結びやすい帯が多いですし、3重紐・4重紐といった便利グッズもあるので、 あまり枕の形にはこだわらないという着付師さんも多いかと思います。 

私のまわりには、「蛤枕よりも、普通のお太鼓枕の方が好き」という着付師さんが多いので、もしも両方のタイプをお持ちでしたら、 事前にどちらが良いか?選んでいただくと良いかもしれません。

はまぐり枕しかお持ちでない場合でも、「逆枕(さかまくら)=上下を逆に使う方法」で使いやすくなったりしますので、あえて買いなおす必要はないと思います。

↑ PAGE TOP

おすすめの帯枕とは?

どんな帯枕が使いやすいか?は、人それぞれかもしれないですが、背にぴたっと添うタイプの枕が良いと思います。

お太鼓におすすめの帯枕:裏面に「厚紙」の無いタイプ

■帯枕の厚紙の有無のイメージ

帯び枕の厚紙なしタイプのイメージ

帯枕の厚紙

以前お世話になった着付の先生に「帯枕の裏面の厚紙は、取っちゃった方がいいわよ」と言われたことがあります。  せっかく付いているものを、わざわざ外すのもナンですが。 自装される方・お身内にお着付される方など、枕がすべって下がりやすいとか、背にそわずにおさまりが悪いといった場合には、 外してみるのも良いかもしれませんね。

帯枕の厚紙を外す

振袖の変わり結びの場合には、羽を支えるために斜めに差し込んだりもしますので、芯付きで問題ないと思います。

↑ PAGE TOP

おすすめの帯枕:柔軟性のあるタイプ

枕裏面に芯が無いという点にも通じますが、柔軟性のあるタイプの枕は、背にフィットして使用感が良いです。

帯枕の柔軟性

振袖の変わり結びは、羽がつぶれてしまうので、椅子の背にもたれることはできないことが多いですが(帯の形による)、 二重太鼓のようなお太鼓結びでしたら、寄り掛かっても大丈夫。

その際、硬い帯枕だと背中に当たってゴロゴロしますが、柔らかい枕でしたら背が痛くなりにくいです。

↑ PAGE TOP

帯枕の紐とガーゼ

帯枕には、ひも付き(紐だけ)のものと、布でくるんであるタイプがありますが、布・ガーゼ無しの場合には、自分でかけることをお勧めします。

■紐付きの帯枕の例

帯枕の紐とガーゼ

なぜ?ガーゼで包むかというと、紐だけではグラついてしまい、枕が背で安定しにくいからです。

■帯枕、紐とガーゼの違い

帯かくら、紐だけ
帯まくらにガーゼをかけた例

帯枕にガーゼをかける

自分でガーゼをかける場合には、薬局で売っている「巻きガーゼ」を使うのがおすすめです。

巻きガーゼ

帯枕を背中に当てて、前で蝶々結びできるくらいの長さがあればOKです。 ガーゼの真ん中に枕を置いて、真ん中をゴムでとめます。  時間があれば、縫い閉じておくと尚良いです。

■帯枕にガーゼをかけて、ゴムでとめる

帯枕にガーゼとゴム

※輪ゴムは劣化してベタつくので、パンツ用の平ゴムなどがおすすめです。

■帯枕のガーゼを縫いとめる

帯枕のガーゼを縫う

※ガーゼをバイヤスに使って、斜めに縫いとめるという方法もありますが、ワタシは普通にまっすぐが好きです。 お好みでどうぞ。(バイヤスだと伸縮する)

・帯枕にガーゼをかける際は、付いている紐は、枕に巻き付けて仕舞い込むか、抜く・切るなどをしてください。 ガーゼの中に通してしまうと、使いにくくなります。

帯枕のガーゼを長年使っていると下の写真のように↓ガーゼが薄くなりますが、むしろ、こうなった方が使いやすいのです。 前でガーゼを結んだ時に、ごろつかないから♪

帯枕のガーゼが薄くなると良い

帯枕にさらし布などをかけると、結びめが大きくなって、前帯に布の余り(結び目含む)を仕舞う時に大変なのです。 それと同様で、 おろしたてのガーゼも、こなれたものよりはモタつきますから、古いガーゼをあえて取り換えることはしなくて良いです。 もちろん、古すぎてちぎれるようではNGですけど。

また、枕の両端でガーゼを縛る(ゴムで結ぶ)なども、しないでください。 帯枕を、背にぴったりと安定させるには、両脇の幅は広い方が良いからです。

 

↑ PAGE TOP

帯枕、ガーゼの代わりにストッキングでは?

一時、ガーゼの代わりにストッキングをかけることが流行りました。 今でもストッキングに枕を入れて、お持ち込みされるお客様は多いです。

帯枕にストッキング

正直、ストッキングはすべりますし、キューっと伸びて細くなるので、カラダに食い込んで苦しくなる可能があるので、歓迎はしません。 紐だけの枕よりは良いですが、 ガーゼと比べたら、むろんガーゼがかけてある方が嬉しいです。

成人式の振袖支度では、補整用の巻きガーゼが余ることが多いので、帯枕分も一緒に取るようにお願いしてみてください。

・ワタシが使っているガーゼの長さは、125cmでした。

手持ちの市販くるみタイプは、143cmになっていました。

↑ PAGE TOP

子供の帯枕

七五三7歳用に、子ども向けの帯枕もあります。

■子ども用帯枕の例

個人的には、大人用の帯枕と同様に「柔軟性のある枕にガーゼをかけて使うのが良い」と思っていますが、セット購入等、お持ちの帯枕で大丈夫です。 (ガーゼは掛けていただくことをお勧めします。)

  • ・3歳で被布を着る場合は、へこ帯なので、帯枕は使いません。
  • ・男児の羽織はかまには、帯枕は使いません。
  • ・3歳、7歳とも、作り帯には枕が仕込んでありますので、別途用意する必要はありません。
  • ・お正月のウールや夏のゆかたなど、半幅帯を締める場合も、帯枕は使いません。
  • ・手結びで「文庫結び」をしていただく際は、文庫枕の方がおすすめです。着付師さんにご相談になってください。
キッズの文庫枕

※ソフト枕のサイズ感:7X14cm 紐長さ108cm

↑ PAGE TOP

帯枕の代用「タオルで作る文庫枕」

■文庫結びのイメージ

文庫結びの画像

昔、着付けのお教室で習いました。 タオルで作る「文庫枕」です。 作りたい文庫結びの形や大きさによっては、ミニタオルや手ぬぐいをつかって、もっと小さな枕を使うこともありますので、ご参考までにどうぞ。

■「タオルで作った文庫まくら」のイメージ

タオルの文庫枕
  • 1.浴用タオルを3枚4つ折りで重ねる
    薄手のタオルを使用。中心に手ぬぐいを芯に入れても可。仕上がりを意識した大きさにたたむ。
    浴用タオルで帯枕
  • 2.ギューッときつく丸める
    中心に手ぬぐいを芯に入れても可。なるべくきつく巻いてください。
    タオルを巻いて帯枕
  • 2.巻いたタオルの中心をとめ、ガーゼをかける
    巻きタオルが広がらないよう、小紐やゴムでとめてから、ガーゼをかけます。(縫いとめる、もしくはゴムをかけます。) 下の画像は、7歳用につくった文庫枕約15cmです。 文庫以外の手結びにも使えます。
    7歳用のタオル枕

↑ PAGE TOP

着付け小物の説明ページへ

基本のきへ戻る

↑ PAGE TOP


 

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • TouTube

<<基本のきTOPへ戻る

スポンサーリンク

 

 

楽天市場

 

 

↑ PAGE TOP