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伊達衿・重ね衿(だてえり・かさねえり)について・その2。重ね衿の使い方
きものの衿元に使う「伊達衿・重ね衿(だてえり・かさねえり)」について・その2です。付け方や使い方。
伊達衿(重ね衿)の色合わせ
伊達衿(重ね衿)の色は、着物や帯の柄から取るとキレイにまとまります。 重ね衿と帯締が同色、重ね衿と帯揚が同色など、帯締め・帯揚のどちらかと同系色にするというのも良いと言われています。
重ね衿を目立たせて華やかにしたい場合は、はっきりとした色を用い、はんなりとやさしい雰囲気にしたい場合は、淡い色を用いると良いです。
成人式の振袖やパーティーの訪問着など、より華やかにしたい場合は、重ね衿の多色使いもおすすめです。
- ・金、または銀を使うとまとめやすい。
- ・同系色のグラデーションにする。
- ・反対色を使う。
※色を重ねる順によっても、印象が変わります。
下の写真は、振袖選びの際に撮ったものです。 重ね衿の有無で、全体の印象や顔うつりが結構変わるんですよ。
■重ね衿ナシの場合。
■同じ着物で、衿を入れた場合と入れない場合。
衿元の印象は、刺繍半衿の色柄でも変わってきますので、できるだけトータルコーディネートをした状態で「小物」を決定されることをおすすめします。 ※本ページ冒頭の写真をご参照ください。
伊達衿(重ね衿)で裄丈を出す
振袖の裄丈が少し足りない時に、重ね衿を数枚入れると、若干肩幅が稼げます。 以前写真館で、下襲ねを重ね着している風に、「衿元と袖口に色布を重ねて」振袖の裄丈を出したお客様がいらっしゃいました。 イメージ的には、十二単のような衿元&袖口です。
重ね衿を少し多めに出すと、その分着物の衿元が明きますから、ちょこっと裄の長さ出しをしたい場合にも、重ね衿を2~3枚使うことがあります。
個性的な着方にはなりますので、結婚式のような場には向かない気がしますが、成人式や初詣なら有効かと思います。
"伊達衿(重ね衿)の付け方
重ね衿の付け方には、付属の衿ピンで留める方法と着物の衿に縫いとじる方法があります。
■重ね衿ピン留めと縫留めの例
1枚の場合は「衿ピン」でも良いですが、複数枚使う場合はしつけ糸で縫い留める方が安心ですし、衿元をキレイに作りやすい気がします。
・ピンでとめる場合
重ね衿をピンで留める場合、ピンの留め方を動画にしました。 ピンは3つあると良いですが、2つでも大丈夫です。
■伊達衿(重ね衿)を衿ピンで留める場合の付け方。
衿ピンは、ピン脚を着物の裏地の衿付けの縫い目に差し込んで、ご使用ください。 衿肩あき~衿肩あきまでの間に、2つないし3つ留めると良いです。 着物の衿よりも伊達衿を5mm程度下げるようにつけると、衣紋を抜いた時に重ね衿が飛び出すことなく、キレイに見えます。
糸で縫いとめる場合
重ね衿を2枚以上入れたい場合は、しっかりと固定するために、糸で縫い留めてしまうことをおすすめします。
縫い方は好き好きで、特に決りはありません。 ここでは大きな針目で、ザクザクと縫った場合をご紹介しています。
1.着物の衿と伊達衿をクリップでとめる
・クリップ1つ=背中心をとめる
・クリップ2つ=衿肩あきの内側に、左右に1つづつとめる■重ね衿が着物の衿(背の衣紋部分)から出ないように、5mm程度下げるようにつけてください。
2.衿裏と伊達衿を縫う
・糸は1本どりで、ざくざくっとした針目で可。
・裏衿に縫い付ける(表には出ないように)
・衿肩あき~衿肩あきの間を縫う※かがり縫いでも可
・縫い方は、巻きかがりやまつり縫い、くけ縫いでも構いません。
・針で指をつくと、血で着物を汚してしまうのでご注意ください。
三歳着物。外した伊達衿・半衿を付ける。
七五三3歳被布セット(ポリエステル製)洗い方でもご紹介しています。伊達衿付け方。 7歳や5歳も基本的には同じです。
伊達衿(重ね衿)の手入れ・収納
伊達衿(重ね衿)のお手入れの仕方と、収納についてです。
伊達衿(重ね衿)の収納
着物を脱いだら、数時間から1日程度キモノハンガーにかけて、体温を抜きます。 伊達衿も一緒に干しておきましょう。
干すときには伊達衿を付けたままでも良いですが、着物を収納する際には、必ず外して仕舞うようにしてください。
伊達衿が汚れることはあまり無いので、気になる点が無い場合には、干したらそのまま仕舞ってOKです。(購入時の箱に戻しても良いですが、ビニール袋は通気性が悪いのでおすすめしません。)
たたみ方は特に決まっていないので、折りあとの通りに畳む・4つ折りで畳むなどが良いと思います。
収納場所は、他の着付け小物と一緒に箪笥の引き出しや収納BOXへ。 帯や着物の上に乗せてしまうと、帯・着物が傷みますのでやめましょう。
伊達衿をたたんでしまう時は、折りアトが見えるところに付かないようにね。
伊達衿(重ね衿)の手入れ
食べこぼしなどで汚してしまった場合や、ひどく汗をかいた時等、汚れが気になる場合には手入れをしましょう。
油性の汚れ
少しだけファンデーションが付いたような軽い油脂汚れなら、「ベンジン」を使ったセルフクリーニングで良いと思います。 半衿の皮脂やファンデーションのような油脂汚れもベンジンで落としますので、 同様のやり方で。
ただし、強くこすると毛羽だって白抜けしたり、風合いを損ねることがあります。 ベンジンでは難しそうな場合や色落ちがする場合には、クリーニング店に出しましょう。
水溶性の汚れなど、洗う場合
汗や飲み物をこぼした場合など、水溶性の汚れはドライクリーニングでは落ちないので、手洗いします。 ただし、正絹の場合は水で洗うと縮みます。 色落ちすることもあります。 ですので、ご心配な場合には着物と一緒に呉服屋さんや悉皆屋さんに出すのが良いと思います。
着物「丸洗い」はドライクリーニングなので、汗による変色が心配な場合には、汗抜きの相談をしましょう。
伊達衿の色ヤケ
古い伊達衿は、退色したり色ヤケで変色したりすることがあります。 その場合は、クリーニングでは直りませんので、見える部分にキレイな部位が出るように 縫い直しをしましょう。 少し位置をずらすだけで、ヤケた部分を隠せます。
伊達衿(重ね衿)を買う
伊達衿は、衿元の印象を左右させる重要なアイテムなので、できるだけ着物・帯・小物と合わせて購入することをおすすめします。
単品で購入する場合には、ネットショップやリサイクル店も活用しましょう。 フリマアプリにもたくさん出品されていますので、チェックしてみてくださいね。