卒業式で着ける袴。 袴丈が長い・短い時の微調整について。
卒業式で着ける「卒業袴・行燈袴」の袴の丈についてです。
■袴の丈(長さ)の微調整と、袴の丈を縫い上げる方法。
■目次(目的の場所に飛びます)
袴の丈が合わない時の対処方法
購入した袴・レンタルした袴の丈が長い・短いなど、合わない時の対処方法についてです。
袴の丈(長さ)は、スカートのように上げたり・おろしたりと、裾で簡単に調節することができません。 だからと言って、 買った(借りた)袴の丈が合わなくて、使えないのでは困りますね。
◆袴の丈(長さ)をなんとか調整したい時、その方法は以下の3つです。
- ブーツ・草履でなんとかする。
- 着付けでなんとかする。
- 多少不格好でも縫い上げる。
あまり大きく変えることはできませんケド、少しくらいは見栄え良くなるかもしれませんので試してみてくださいね。
※小学校の卒業袴にブーツか?草履か?は、別ページにも掲載いたします
ジュニア袴の草履とブーツ
【ジュニア袴】小学校卒業式の袴の草履とブーツ。
袴の丈(サイズ)と草履・ブーツの関係
袴の丈で履物を選ぶ場合と、履物に合わせて袴の丈を決める場合、どちらもありです。 着付けでも、多少の長さ調節は可能です。
ブーツの袴丈
女性の行灯袴(スカート式の股がない袴)を着付けで「ブーツを履く場合」には、草履を履く場合よりも短めに着付けることが多いです。
ブーツの方が活動的なイメージなので、少し丈を短めに付けることで「颯爽とした雰囲気」になるからです。
編み上げブーツの場合には、ブーツを見せるという意味合いもあるだろうと思います。
ブーツを合わせる場合の袴丈の目安は、くるぶしにかかるくらいか・くるぶしよりちょっと短めくらいで、ブーツの履きこみ口が見えないような長さです。
ブーツが長めだからと言ってあまり短くしてしまうと、なんだかスカートみたいになっちゃいますのでご注意ください。 ブーツと脚の境目は、見えないようにするのが一般的です。
長い袴にブーツを履きたい場合には、草履とおなじくらいの丈感になってしまっても構いません。
◆袴丈が長めでも、ブーツを履くことは可能です。
着物の袖やブーツのヒールの高さ、着る方の体型によっても見た目の感じは変わりますが、ブーツで袴を長く着けると、少し重たい印象になるかもしれません。
長い袴を短く着付けようとしてバストトップよりも高い位置まで帯や袴を上げてしまうと、バランスが悪くなってしまうのでご注意ください。
草履の袴丈
上の写真のモデルさんは同じ女性です。 袴の着け方(丈感)によって、印象が少し変わってくるのがお分かりになりますか?
草履に合わせて袴を着ける場合には、裾線がくるぶしと同じくらいを基本として、くるぶしが隠れるくらいだとエレガントになり、くるぶしよりも短いと、 颯爽と活発的でキュートな印象になります。
袴が短めの場合でも、足袋の上に素足が見えないようにしますので。4枚こはぜの足袋ではなく、5枚こはぜの長めの足袋を履いておくと安心ですね。
宝塚歌劇団の皆様が「緑の袴を短く着ける」ということは、よく知られていおりますが。 素足が少し見えるように着けると決まっているのだそうでして、ちょっと 特別な着付けであると思います。
大階段の昇降がしやすいようにとも言われていますが、卒業式では肌を見せない長さが一般的です。
袴丈が短い場合は、草履の台がフォーマル用の高い台だと丈が短いのが目立ってしまいますので、少し低めの台の草履の方がおすすめです。
ただしその場合、着物の種類が二尺袖とか小紋とか色無地あたりだったら良いのですけど。 振袖や訪問着といった格の高い着物ですと、 草履だけ普段着用とおかしなことになってしまいますので、着物の格に合わせた草履を優先させてください。
袴の丈が長い場合は、草履の方が見た目がエレガントで素敵に見え、袴の丈が短い場合には、ブーツの方が格好良く仕上がります。
着付けの際の帯位置や帯の作り方でも多少は調節できますが、あらかじめ「ブーツを履きたい・草履を履きたい」と履物が決まっているのでしたら、袴も履物に合わせて サイズ選びをされることをオススメします。
すでに手元に袴があって、その袴の長さにあった履物を選ぶことができる場合には、長めなら草履・短めならブーツを選んでください。
ジュニア袴。ブーツから上履きに履きかえる時は。
【関連記事】小学生卒業袴。学校でブーツから上履きに履きかえる時の袴丈について。
袴の丈(長さ)が短い時の対処方法
お気に召した袴の丈が少し短めだった場合には、ブーツを選んでいただいて。 草履を履くなら5枚こはぜの足袋を履いていただく。
その上で、着付けは帯を若干下げ気味に着付けます。
帯を締める前に袴を当てて長さを確認し、袴の上線から帯をどのくらい出すか?で帯の位置を決める感じです。
例えばちょっと大げさですけど、普通に帯・袴を着けた場合と帯も袴も下げて帯巾を目いっぱい出した場合は、こんな感じになります。
お嬢さんの体型や袴・着物の質感によっても違ってくるかとは思いますが、帯位置で3センチ・帯巾で3センチ・ブーツで4~6センチくらいの長さ出しが できそうな気がしますので、トータルで10~12センチ程度は出せるかもしれないですね。
それ以上袴が短い場合には、着付けでの対応は難しい気がします。
袴の裾は、余分に上げがあったとしても下ろすことができませんので(線が付いて消えない)、着付けでもどうにもならない場合には、別の袴を手配するしかなさそうです。
袴の丈(長さ)が長い時の対処方法
袴の丈が長い場合は、着付けでなんとかするか、多少不格好でも縫い上げてしまうか、どのくらい長いかで対処の方法が変わってきます。 少し長いくらいでしたら、着付けでカバーするのが手軽です。
長い袴を、胸高に着付けて帯巾を狭くする場合。
■帯の位置を高く締めます。 衿を詰め気味に合わせると、帯も高く締めやすいです。
小学生の場合は問題ないと思いますが、バストとアンダーバストで高さが違う場合は、なるべく平らになるように補整をして着物を着せてあげてください。 バストのトップとアンダーに差があると、帯を胸高に締めても下に下がってしまいやすいです。
※上の写真のマネキンのウエストはまだ若干くびれているため、帯を高く締めても帯が下がってきてしまいましたので、イマイチな胸高加減ですみません!
■帯の幅は、狭くします。 最近の流行は1cm~1.5cmくらいだそうですから、今風に着たい方は長い袴を選ぶと良いですね。
いくら帯巾を狭くするのが流行と言っても、あまりに細くすると見えなくなってしまいそうなので、1cmくらいまでが良いと思います。
※昔は5センチくらい出すのが普通でしたが、今はどんどん帯巾が細くなって、長い袴を腰高に着付けるようになっているようです。 その方が脚長に見えるからでしょうか?
私個人は、2.~2.5センチくらいが好きですが、1~5cmくらいが一般的な帯巾ではないかと思います。
長い袴の前を一折して着付ける方法
袴を胸高に着ける・帯巾を狭くする……といった着付けでも袴が長い場合には、袴の前の上線(ベルト部分)を外側に一折するという手を使います。
袴の前紐(ベルト部分)を折り返すと、どうしても裏が見えてしまいますので。
裏が見えるのが気になる方は、御仕返しの間に芯(厚紙)を入れるとか、後紐のリボンを前紐の上に重ねて、押さえ付ける&隠すというようにします。
コサージュのような飾りをつけて、視線を逸らすという方法も良く使います。
◆タグが出てしまう時には、コサージュで飾ると良いです。
長い袴を着ける時に、前を一折して丈を短くしたら、後側も丈が上がるように気を付けて着付けます。 帯結びで後ろ上がりになるようにボリュームを出して一文字を結んでください。
- ・通常(写真左)は、一文字結びを背につけてあまり厚みが出ないように結びます。
- ・後上がりにしたい場合は、帯結び自体高めになるように結び、一文字の羽を背に立てて厚みを出します。 手先は引き抜かないで、たたんで羽の台にすると羽が下がりにくくなります。
袴の後側は折り返せないため、帯で持ち上げることしかできません。 当然帯がへたると丈も落ちてしまいます。 袴の後丈は、座ったりすると下がりやすいので注意が必要になります。
通常は、後紐を背に立てるように帯に乗せますが、袴丈が長い時は背に沿わせるようにして高めに着けると多少下がりにくくなるかもしれません。
長い袴を、多少不格好でも縫い上げる方法
卒業袴(行灯袴)の裾上げは、やってできないことはないのですケド。 ひだがある分縫い上げるのが大変ということと、裾上げをした後に裾が開いてしまって、キレイにひだが出ないという難点があるため、あまりオススメできません。
どうしても裾上げをするのであれば、長い部分は切り落としてしまって、仕上げのプレスはプロに頼む(クリーニング屋さんに出すなど)というのが良いと思います。
袴の布地(素材)は、ポリエステルやウールの場合がほとんどなので、自宅でアイロンをかけてしまうとテカリが出てしまって困ったことになりそうですし、 普通のアイロンではひだもキレイにでないだろうと思います。
ですので、袴の丈を裾を切り落とさずに縫い上げる時は、上部の方で上げを取ります。
■袴 後側の縫い上げ方
※上げ代が上線から出てしまう時は、下におろすか、隠れる範囲で上げてください。
■袴 前側の縫い上げ方
袴を上部で縫い上げる方法は、子どもたちの通っていた「剣道教室」で習いました。
剣道で使う袴は「馬乗り袴」といって股があるタイプなので、スカート式の行灯袴とはちょっと形が違いますが、要領としては同じです。
ただ、剣道で袴を着ける場合は後から縫い上げた部分を下ろしても、袴の上から「垂れ」という防具をつけるので、畳んだ部分の線は隠れてしまうのですけど。
女性の卒業袴の場合は、元に戻すと線が出てしまいます。
前はリボンで隠したとしても、後は隠しようがありません。
袴を縫い上げて寸法直しすると、ひだがキレイに出なかったり上部がゴロゴロと厚くなったりしますので、あまりオススメはできません。
一折しても長い場合等「どうしても!」という時には試してみていただいても良いかと思いますが、時間的な余裕があるのであれば、サイズの合った袴を購入してしまう方が早いですね。