付け下げの着物について。付け下げ小紋と付け下げ訪問着。訪問着との見分けなど。

付け下げとは?

付け下げは、着物を着た時に柄が全部上向きになるように、肩山から前後に振り分けて模様付けされた着物です。

◆付け下げの着物の例
付け下げ着物

付下げ、付け下げ、附下と書くこともありますが、どれも「つけさげ」と読みます。

着物の本を見ると「付下げ」と記載してあるものが多いのですが、WEB上ですと「付け下げ」と検索 される方が多いようなので、ここでは「付け下げ」と書かせていただきますね。


 


 

付け下げとは

「付け下げ」というのは、着物の柄が上向きになる模様付けのことです。

ですので、細かいことを言えば「着物の名称というより、柄の入れ方の名称」になるのですが、 付け下げ=付け下げ着尺(着物)として、着物の種類の呼称のようにも使われています。

付け下げ訪問着

付け下げ訪問着は、衽と上前の身頃、さらには上前と後ろ身頃等、「縫い目をまたいで柄を入れた」付け下げの着物です。

飛び柄の付け下げ(模様が繋がっていない)をより華やかにした、 訪問着に近い模様付けの着物を『付下げ訪問着』と呼びます。

■付け下げ訪問着の例
付け下げ訪問着

「付け下げ訪問着と訪問着の区別」は、とてもわかりにくいです。 掛衿~身頃まで模様が繋がるように柄付けされた、ほとんど訪問着と変わらないものもあるからです。 (付け下げ訪問着と訪問着の違いと見分けについては、後述しますね。)

 「付け下げ訪問着」という言い回しは、あまり一般的ではないかもしれませんけど。

本サイトでは、「訪問着と付け下げの間の着物」という意味合いで、控えめな絵羽柄の 付け下げ着物や共八掛ではない訪問着を、あえて『付下げ訪問着』と書かせていただくことにします。

訪問着については、こちらをご覧ください。

訪問着のイメージ

訪問着の着物

訪問着は、未婚・既婚を問わずに着ることのできる格の高い着物です。 絵羽模様に柄付けをした着物で、古典からモダンなもの・趣味的なものまでいろいろなタイプがあります。


 

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付け下げ着物の例

付け下げ着物にもいろいろなタイプがあるということを言葉で説明するのは難しいので、ワタシの着物を出してみました。 大した着物ではありませんし、 ほんの一例ではございますが、こんな付け下げもあるというところをご覧いただければと思います。

付け下げ着物の例

画像をクリック・着物の種類

一つ紋入り付け下げ訪問着(着物の種類)

1:付け下げ訪問着・一つ紋入り

八掛はぼかし。衽と上前身頃など、一部模様でつながる合口がある着物。

刺繍付け下げ(着物の種類)

2:付け下げ・刺繍柄

八掛は共布(刺繍はなし)。衽と上前身頃に合口がありますが、それ以外はとび柄。 胸に刺繍あり。

付け下げ訪問着(着物の種類)

3:付け下げ訪問着・掛衿に柄あり

八掛は共布(模様はなし)。衽と上前身頃等に合口があり、掛衿にも柄が入っていますが控えめです。付け下げ訪問着ではなく、訪問着かも?

付け下げ訪問着ー金箔使い(着物の種類)

4:付け下げ訪問着・金箔使い

八掛はぼかし。裾模様に訪問着のような合口があり、掛衿~胸にも合口があります。

付け下げ訪問着・縫い一つ紋(着物の種類)

5:付け下げ訪問着・縫い紋の一つ紋

八掛はぼかし。裾模様に合口がありますが、胸はワンポイントの地紋柄です。金糸の縫い陰紋で一つ紋入り。

付け下げー地紋ー色無地

6:地紋の付け下げ・色無地一つ紋

八掛は無地。染めは色無地ですが、地紋柄が付け下げになっています。染め抜き日向紋の一つ紋入り。

紬の訪問着

7:紬の付け下げ訪問着

八掛は無地。裾模様が汕頭刺繍で合口がありますが、紬地なのでおしゃれ用です。袋帯を締めても礼装にはなりません。

上の「付け下げの着物の例(一覧)」の中で、4・5・6の着物は、義母が子供の七五三祝いや卒園式に合わせて誂えてくれた着物です。  その後も、息子たちの卒入学式で大変活躍してくれました。

 

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付け下げ小紋

付け下げ小紋は、柄が上向きになるように着物全体に模様付けされた総柄の着物です。

小紋の着物は柄に上下がありませんが、付け下げ小紋は柄が上向きになるようになっています。 イラストで表現するとこんな感じ。

■小紋と付け下げ小紋のイメージ
小紋柄と付け下げ小紋柄

上のイラストは細かい総柄ですが、とび柄だったり、普通の細かい小紋柄に裾模様が重なっていたりと、いろいろなタイプ付け下げ小紋があるようです。

■付け下げ小紋のイメージ
付下小紋

付け下げ小紋は「小紋」と同格であるそうですが、柄の配置に配慮があるものは、普通の小紋より若干格が高めであるそうですよ。 ただし、 小紋は小紋なので、礼装にはなりません。 おしゃれ着感覚でご着用いただく着物です。


 

訪問着と付け下げ着物の違いと見分け。

■付け下げの着物とは?

  • ・訪問着ほど仰々しくない「付け下げ柄」が模様付けされた着物。
  • ・格は訪問着とほとんど同格(柄により少し下がるものもある)で、略礼装として使える染めの着物。
  • ・柄によっては、帯でカジュアルダウンして街着になるものもある。

訪問着と区別するための付け下げの特徴は、次のように言われることが多いですけど。

  • ・付け下げは、反物の状態で柄付けするため、前後の身頃・身頃と袖で柄が繋がらない。
  • ・付け下げは、掛衿に柄が入らない。
  • ・付け下げは、無地やぼかしの八掛を使う。共八掛にすることは少ない。
  •  

でも現在では、まるで仮絵羽で模様付けした訪問着のように合口のある(繋がった柄が多い)付け下げもあるし、共八掛のものもあるし。 訪問着との境界線が、 曖昧になっていますので、上記のような内容で「訪問着と付け下げを見分けられるか?」というと、難しいですよね~

付け下げ着尺誕生の背景~模様付けの仕方が違う!

第二次世界大戦中に「倹約を推奨・強制するための奢侈禁止令(しゃしきんしれい)」が出されて、絵羽模様の着物が着られなくなってしまったことから、 花柳界の芸者さん達が訪問着の代わりとして着たことで広がったのが、「付け下げ」の着物だそうです。

仮絵羽で下絵を描かずに、反物の状態で模様付けする「付け下げ」は、訪問着より手間がかからない分、価格もお安いものが多かったことから、 戦後は花柳界だけでなく、庶民の間でも人気が出たという着物です。 つまり、訪問着を「簡素」にした着物というのが、付け下げ着尺誕生の由来です。

ですので、「訪問着と付け下げ着尺の違い」は、模様付けの仕方が違うという点にあります。

訪問着⇒白生地を仮仕立てしてから、着物全体を1枚のキャンパスに見立てて、縫い目をまたいで模様を描いた“絵羽模様”の着物。

付け下げ⇒反物の状態で袖・身頃・衽・衿と印をつけて、肩山・袖山で前後に振り分け模様が上向きになるようにした着物。

付け下げの特徴で前述したように「縫い目をまたぐ模様(合口)がない・絵羽模様かどうか?ってことも、付け下げと訪問着の違いじゃないの?!」と思われるかもしれないですが、 付け下げ着物が世間で人気を博したことで、衽と上前の身頃、さらには上前と後ろ身頃にもつながった柄を入れた「付け下げ訪問着」という着物が考案されました。  現代の付け下げ着尺は、このタイプが多いですよね。 

反物の状態で柄が合うように計算されて染められているそうですが、技術の進歩に目覚ましいものがあるようです。 仮仕立てせずとも訪問着と変わらない華やかで、 豪華な模様付けができてしまうのですから、すごいですね! 

※「合口」について調べていて、ヤフー知恵袋で「訪問着と付下げの違いは何か」についてのすばらしい回答を見つけました。

着物製造業者さんの アンサーのようですが、2011年時点で「市場に流通している訪問着の中で、下絵羽をしているものの割合はおそらく10%未満。仕立て上がってしまえばプロが見てもわからない。 訪問着と付下げの厳密な区分というのは、ほとんどないと考えた方がよい。」ということが書かれていました。
 ⇒https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1372304783

※上記URLのとび先が出ない時は、こちらでご覧ください。

ということで。 着物のTPOの判断は、訪問着か?付け下げか?ということよりも、着物自体の雰囲気(模様のボリュームや箔使い。古典かモダンか?など)と、帯合わせでするのが良いと思っています。

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付け下げのTPO。格と帯合わせ。

「訪問着か?付け下げか?よりも、着物の雰囲気と帯合わせでTPOを判断するべきと」という前述の内容を踏まえた上で、 着付師としては、『やっぱり、訪問着と付け下げを区別したいなー』という思いがあります。

豪華なホテルの結婚披露宴に着ていくには「訪問着」で、お子さんの七五三や卒・入学式にママが着るのに最適なのは「付け下げ着物」というように説明するのが、 1番簡単でわかりやすいと思うからです。

でも、お手持ちのお着物がどのくらいのフォーマル度で、どんな帯が向くか?なんて、実際はなかなか判断しにくいですね。 そこで、シーン別の大雑把な目安を調べてみましたよ。 

 
【付け下げ&付下げ訪問着】着物のTOPと帯合わせ
結婚披露宴など、フォーマル度の高いシーン 帯合わせは訪問着に準じます。 古典の吉祥柄や、箔使いの格式高い柄の付け下げ訪問着を選び、唐織や錦織の格のある袋帯を二重太鼓に締めます。  粋・趣味性の高いものはフォーマルには向きません。 末広を差すと、より改まった雰囲気になります。
ガーデン・レストランウェディング あまり金ピカすぎたり、古典柄の重い模様の付け下げは避けて、古典ならあっさりと上品で控えめな柄ゆきの付け下げ着物を選びます。  場所によっては、織り名古屋で金糸・銀糸を使ったものでも可だそうですが、袋帯の方が間違いないとは思います。 ただし、帯も着物と バランスを取って重厚すぎないものを選んでください。 チャペルの式ならモダンな着物にクールな袋帯でも良いですが、お祝いの席にふさわしいテイストのものにします。
お茶会・卒入学式など。 格式はあるけれど、華やか過ぎず・控えめにする必要が場合には、軽めの唐織・錦織の袋帯や渋めの焼箔袋帯がおすすめだそうです。 名古屋帯であれば、品格ある名物裂模様や有職紋の名古屋帯など。  付け下げの着物も、上品で控えめな柄ゆきで、古典柄のものが良いと思います。 七五三や卒入学のママの付き添いは、あくまで「主役はお子さん」であるということを前提に、ママが目立ち過ぎないようにしてください。
格式張らないパーティーや観劇など。 ふくれ織り袋帯やモダンなテイストの袋帯。縫い取りの名古屋帯や、紋織りの名古屋帯、華やかな刺繍の名古屋帯などが良いそうです。  着物もモダンでエレガントな柄や、シックなテイストのあるもので差支えありません。 紬地の付け下げ訪問着に、つづれ帯や洒落袋帯でも。
付け下げ小紋に 洒落袋帯、織り名古屋、塩瀬の染め名古屋など。 総柄模様で柄が目立つ場合には、帯はすっきりしたものを選びます。 付け下げ小紋は、お出かけにはOKですが、 あらたまった場には合いません。


 

■「結婚式・披露宴で着る着物」もご覧ください。

結婚披露宴の訪問着イメージ

結婚式の着物・友人同僚編

結婚式にゲストが着る訪問着や色無地紋付の着物。
主賓来賓・友人同僚などゲストの立場や、会場の雰囲気・宴の形式にもより、選ぶ着物やコーディネートは変わります。 披露宴では、晴れやかに装い、花嫁や場を引き立てるのが良しとされます。

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