成人式に「ママ振り・姉振り」等、ご自宅の振袖を着た後にすべきこと。
成人式当日に、お家にある振袖を着ておでかけされた方へ。
振袖を着た後にすべきこと。
着物をレンタルした場合には、お店に返せばそれで終わり。余計な手間はかかりませんが、ご自宅の振袖の場合には、お家でケアをしなければなりません。
着物を脱いだ後の始末に関しては、「着物を着たら」として書いていますが、以下にも簡単に書いておきます。
着物や襦袢を掛けて、汚れのチェックをする。
とりあえず脱いだ着物・帯・小物をハンガーにかけるなどして、体温を抜き、汚れ具合をチェックしてください。
万一、着物や帯の汚れを発見した場合には、自分でなんとかしようと思わずに、一刻も早く専門店にご相談なさってくださいね。
汗は、汗ヌキをしてもらう。
特に目立った汚れがない場合でも、その後お召になるご予定がなく、長く仕舞うことになるのであれば、汗ヌキをしていただいた方が良いかもしれません。
汗をかいたところは、半年くらいで黄変してきます
仕舞う前に汗抜きをしておくと、黄変やシミになるリスクを軽減できると思います。 (汗は水溶性の汚れなので、ドライクリーニングの丸洗いでは落とせません。)
丸洗いをしてもらう。
ドライクリーニングで着物の汚れを落としてもらうことを「丸洗い」と言います。 お洋服のドライクリーニングと同じで、油性の汚れ落としになります。
汚れが無ければ、丸洗いする必要はないと思いますが、見つけたらすぐにお手入れをしていただきましょう。
丸洗いに出した際に、汗抜きや部分汚れ落としをサービスでしてくださるところもありますが、別料金のところもありますので一概には言えません。 店舗によって料金は結構違いますので、見積を出していただきましょう。 大切なお着物ですので、価格よりも腕の良い(評判の良い)お店に出すのが安心と思います。
収納前のチェックで振袖に汚れが見当たらなかった場合でも、経年保管で浮いてくることもありますから、年に一度くらいは着物を広げてみると良いです。
しみや黄変は丸洗いでは落ちませんから、専門の処理をお願いすることになります。 その場合も処置が早ければ早いほど、キレイになる可能性は高くなります。
半衿の汚れをチェックする。
長襦袢の半襟は、衿垢やファンデーションで汚れている可能性が高いです。 よくチェックしてくださいね。
ファンデーションや衿垢といった油性の汚れは、ドライクリーニングで落とすことができますので、半衿だけ外してクリーニング店に出してください。 まれに衿芯を入れっぱなしで畳んでおられる方がいらっしゃいますが、衿芯は抜いてくださいね。
衿汚れがなかったとしても、長期間保管(着る予定がない)場合には、半衿を外して・まめに襦袢を出して風を通す(チェックする)のが良いです。
下の写真は、経年保管で出た襦袢の衿(半衿は外して、三河芯が付いている状態)の黄変です。 箪笥に仕舞いっぱなしで放置すると、こうしたリスクが高くなります。
外した半衿のお手入れは、着物の専門店である必要はありませんが(普通のクリーニング店でもOK)、ご自宅での水洗いは止めておくのが無難です。 刺繍半衿・縮緬素材の半衿は、水に漬けると縮んだり、 刺繍と刺繍の間にシワが寄ったりしますので、ご注意ください。
■刺繍の間がシワになった半衿の例。もっとぎゅっとなることも多いです。
さぼす時の注意
着物をさぼす期間ですが、あまり長く吊っておくと、着物の裏(裾)がたるんでしまってダボついてしまうこことがあるので注意してください。
振袖の着物は袷(あわせ)といって表地と裏地の2枚重ねになっているのですが、裾廻しのある下部分の方が重いので、裾がたるたるに なってしまう(「袋になる」と言います)危険があります。
■「袋(ふくろ)」のイメージ。このくらいは問題ないですが、裾から裏が出るくらい下がることがあります。
※関連記事:着物をハンガー干しするのは2~3時間でOK。 吊るしっぱなしにしない。
できれば、晴天続きの日に収納するのが良いそうです。 雨天が続いてしまった場合は、一旦たたんで置くと良いですね。 あまり長期間吊るしっぱなしにするのはやめましょう。 晴れの日に再度広げてから、しまってください。
また、着物は日焼けで色が変わってしまうことがありますので、窓辺や直射日光の当たるところには、絶対に置いたり吊るしたりしないでくださいね。 あっという間に、色が変わってしまいますよ!
振袖を収納する
着物の収納は、湿気を避ける「桐の箪笥」がベストですが、プラスチックの収納ボックスにしまうのでも大丈夫です。
ただし、その場合は定期的に着物に風を通したり、 漢方敷き のような着物専用の湿気取り・防虫効果のあるものを使う必要があると思います。
気を付けていただきたいのは、以下の通りです。
- ・ウールや綿のような虫の喰う衣類と一緒にしないこと。
- ・収納ボックス自体を、湿気の多いところに置かないこと。
- ・ニオイが付くもののそばに置かないこと。
- ・日光の当たるところに置かないこと。
- ・着物用でも、箱(紙製)の中には収納しないこと。
- ・小物(帯締めや帯枕など)を、着物の上に乗せて収納しないこと。
- ・1枚のたとう紙には1枚の着物(襦袢)を入れること。
- ・古いたとう紙を使わないこと。
- ・箔置きの柄がある場合は、くっつかないよう薄紙を挟んでおくこと。
ダンボールや厚紙は湿気を呼ぶので、使用しない方が良いと言われています。 できれば「たとう紙の薄紙」も外した方がいいそうです。
ただし、着物に施された箔はくっついてしまうことがあるので、ここは薄紙が必要かも? ご心配な場合には、お手入れをお願いした 専門店に保管方法もレクチャーしてもらってください。
着物はたとう紙にすら入れないで、桐ダンスの引き出しにそのまま仕舞うのが1番オススメという話を聞いたことがあります
※たとう紙に入れる・入れないは、賛否両論あるようでして。 「絶対にたとう紙に入れてしまうべき」という声の方が多いかもしれません。 たとう紙に着物を仕舞う場合は、 1枚1枚たとう紙を分けて入れるようにして、まめに交換するようにしてください。 ワタシは、ちょくちょく着る普段用着物はそのまま箪笥の引き出しに仕舞い、フォーマル着物はきれいなたとう紙に入れて桐箪笥に仕舞っています。
たとう紙については、別ページに詳しく書いていますので、こちらをどうぞ。
たとう紙(文庫紙)
着物のたとう紙について。たとう紙の種類と取り換え時期の目安など。
着物を収納した後は、虫干し・土用干しをするのが良いとされていますが、着物を広げて干さないまでも、時々引きだしを開けて空気の入れ替えをするとか、上下を返してあげることができればベストです。
小物類は、どこに仕舞ったのかわからなくならないようにしていただきたいと思いますが、着物や帯の上に乗せてしまうのはやめましょう。 痕がついたりして、 着物がいたんでしまいます。
■長期収納にオススメの着物キーパー