帯板(おびいた)
帯板と書いて「おびいた」です。
帯板は、帯の下(または間)に入れて使うものなので見えるものではありませんが、色柄・サイズ・素材を使い分けることで、美しい着姿と快適な着付けにつながるかと思います。
■目次(目的の場所に飛びます)
帯板(おびいた)ってどんなもの?色柄・サイズ・素材の違い
帯板(おびいた)ってどんなもの? 絶対必要? 使い方は? 前板・後板の違いは?
着付けで使う帯板には、サイズも素材も色柄も、いろいろなものがありますが、用途はどれも同じです。 前板は、前帯のシワを防いでビシッと格好よく見せてくれます。 後板は、飾り結びを美しく見せつつ、腰高に支えてくれます。
■帯板(前板・後板)を入れた振袖・帯結びの例。(協力:ふりそでモード)
前帯に入れる帯板=前板(まえいた)は、フォーマル着物でも・カジュアル着物でも、袋帯でも半巾帯でも入れますが、 後板は、お太鼓(二重太鼓含む)に帯を締める時には使いません。 振袖や浴衣、七五三の祝い帯で飾り結びをする時にだけ使います。
■帯板の後板は、お太鼓・二重太鼓には必要ないので使いません。
前板は、帯の種類(名古屋帯・袋帯)や季節(夏用・袷用)で、サイズや素材を使い分けます。
後板を使う必要があるのは「飾り結び」をする時なので、主に振袖や七五三の7歳晴れ着に使います。 帯板にも、大人用とキッズ用があります。
帯板・色柄の違い。
帯板は見えるものではありませんので、色柄をあまり気にする必要はありませんが、前板は下記のように大まかに大別できます。
- ・白無地(地紋入り)や、金糸銀糸模様=婚礼用
- ・黒無地(地紋入り)=不祝儀用
- ・ピンクやパステルカラーの無地(地紋入り)=フォーマル用(袋帯や丸帯)
- ・濃い色や柄入り=カジュアル用・透けない帯に
- ・メッシュ=夏帯用
- ・へちま素材=夏帯用・暑がりな方向け
- ・シンプル樹脂素材の白無地(差し込み式)=ある意味オールマイティ・着付けしてもらう時に
後板は大抵「白い樹脂製」か、「ピンク色の地紋入り」です。後板で濃い色や変わった柄の入ったものはあまり見かけません。
後板は変わり結びをする時にしか使わないものなので、お持ちでない場合には厚紙で作った代用品で十分です。 わざわざ買い足す 必要はないと思います。
帯板・サイズの違い。
帯板のサイズに規定はないので、大小いろいろな長さ・幅の帯板がありますが、基本的にはフォーマルには 幅広め・長めの帯板を使い、カジュアルには小さめの帯板を使います。
袋帯には大サイズ。 名古屋仕立ての帯には小サイズと言った方が良いかもしれません。
■袋帯と帯板
■名古屋仕立ての帯と帯板
名古屋帯でも、袋名古屋(京袋帯)や松葉仕立ての帯でしたら、袋帯同様に前帯の巾出しができるので、多少大きくてもOKですけど。 名古屋仕立ての帯の場合は、帯幅が大体15㎝前後と決まっている(帯幅の半分で縫ってある)ので、大サイズの帯板ですと帯の上線から出ないように気を付けてくださいね。
大きな帯板と、小さな帯板のサイズを測ってみたら、長さで10㎝・幅で2㎝ほど違っていました。
袋帯には大きな帯板、名古屋仕立ての帯には小さな帯板と書きましたけど、実際には、背の高さや体格、帯の柄・ 帯を締めるシーン等によっても使い分ける人が多いです。 要は「帯がキレイに見えるように」と使うものですので、ご自身の使いやすいものを使ってください。
帯板・素材の違い。
帯板の素材にもいろいろあって、ワタシは通気性の良い「ヘチマ」素材の帯板を好んで使っています。
その他、裏がタオル地になっているもの・プラスチック樹脂のものなど、いろいろありますが、素材も好きなものを選んで いただいてOKです。
夏用には蒸れにくいメッシュの帯板が人気です。 帯芯の入っていない「透ける素材の夏帯」にも、帯に響きにくいメッシュ素材はおすすめです。
帯板(おびいた)前板の使い方。
前板と後ろ板の違いは、主に長さです。 フォーマル用の長い前板は約50㎝くらいあるので、体の両脇あたりまで入ります。
この時、後板まで長いものだと、脇で前後ろの板がぶつかって(重なって)しまうので、ご注意ください。 また、 ふくよかな方が長い帯板(脇まである)を使うと、より太って見えることがあるので、その場合は少し短いものに変えましょう。
前板・ベルト付きの場合。
ベルト付きの帯板は、帯を巻く前に伊達締めの上(帯の下に入るよう)に使います。
ベルトの無いタイプは挿し込み式です。 帯の二巻き目をする際に帯と帯の間に、挟むようにして入れてください。
袋帯のように幅出しをする場合には、二巻き目の帯の輪の部分に、下線に沿わせて入れます。
帯板のおかげで、帯がスッキリ・キレイに見えればOKです。 柔らかい・薄い帯の場合には、脇で帯板の端が目立ってしまったり、 帯の上線(うわせん)に段差ができてしまうことがありますので。 そうした場合には、帯板も薄くてしなやかなものに変えると、帯に響きにくくなります。
帯の締め方が緩いと、帯板を入れても帯締めを締めた際にしわが寄るので気を付けましょう。
帯板(おびいた):後板の使い方。
後板は、手を肩に預けて一巻きして、二巻き目に入る際に背中側に入れる帯板です。 ベルト付きのものはなくて、全て 差し込み式になります。
帯を二巻きしたら、帯を脇から折り上げて結んだり、帯を捻じったりして変わり結びに入りますが、後板が入ることで「帯の下線」が スッキリとキレイに出て、帯のシワも防ぐことができます。
帯板が入っていると、「結び目」や「帯枕」が帯の上線に乗せやすくなるので、変わり結びを腰高に締めることにも一役買ってくれます。
子どもの帯板。
七五三の7歳用に子ども向けの帯板もあります。
子ども用の後板は見かけません。 写真館では、厚紙を切り抜いて使っていました。
七五三・7歳用の平帯を、振袖のように手結びする場合や、作り帯の帯が柔らかい場合には、前・後に帯板を入れた方が、しごきがキレイにかかります。
帯板の代用「厚紙で作る帯板」
振袖の持ち込みリスト(必要な着付け小物のリスト)に、【帯板2枚】と書かれていると、長い前板を2枚持っていらっしゃる方が多いので、後板を厚紙で 作ることは良くあります。
■「厚紙の後板」のイメージ
頻繁に着物を着る・着せる練習をするのなら「使いやすい帯板」を買った方が良いと思いますが、お祝い事や催事等でその時だけ着るのであれば、 前板も後板も、厚紙で十分です。
サイズは以下を参考に、ご自身の使いやすいサイズに直してください。
- 前板:巾12~14㎝程度。 長さ:45~50㎝程度。
- 後板:巾13~14㎝程度。 長さ:27~30㎝程度。
- 子供用:前板&後板:巾11㎝程度。 長さ:24㎝程度。
厚紙は、少ししっかりしたものが良いです。 段ボールは厚みがありすぎて使いにくいのでおすすめできません。
どうしても薄めの厚紙しか手元に無い時には、下側を輪にして2枚重ねで作ってください。
■手作り帯板(薄め厚紙)で作る場合
長方形(四角)で帯板を作ってしまうと、角が帯に当たってしまうので、角は丸く落としてください。