お宮参りの着物。赤ちゃんの掛け着について。|お祝いの着物

お宮参りの着物「掛け着(かけぎ)」について

お宮参りの記念撮影や宮詣につかう「赤ちゃんの着物」についてです。 初宮参りの祝い着。


 

お宮参りの赤ちゃんの着物「掛け着」とは?

「初宮参り」の祝い着=掛け着は、赤ちゃんが初めて産土神様や氏神様にお参りする時に使う着物で、小裁ち仕立ての一つ身です。

ワタシが勤めていた写真館では、この赤ちゃんの着物のことを「掛け着(かけぎ)」と呼んでいました。 袖を通してきるのではなく、 抱っこされた赤ちゃんを覆うように、抱いている人の前に掛ける着物だから「掛け着」と呼ぶのでしょうね。

◆宮参り掛け着の使用例
お宮参り祝い着掛け着

※写真館で赤ちゃんの記念撮影をする際は、冒頭の写真のように、椅子に寝かせて掛けます。

実は、掛け着にはいろいろな呼び方があるようでして、初着(はつぎ)・産着(うぶぎ)・宮参り着・祝い着・のしめ・お掛け(おかけ)などとも言うようです。

背縫いを取らず「一つ身」で仕立てるのが一般的なので、「一つ身(ひとつみ)」と呼ぶこともあります。

◆一つ身(背縫いを取らずに反物巾で仕立てた幼児の着物)の掛け着の例
掛け着の例

サイズの小さい昔の着物や羽織から仕立て直しで作ることもあり、その場合は「四つ身仕立て」で背縫いを取ることもあるそうですが。  一般的に「お宮参りの掛け着」として出回っている着物は、一つ身での仕立てになっています。

今回「掛け着」について調べていて気付いたのですが、実は「掛け着」という呼び方はあまり一般的ではないようです。  どちらかと言えば、産着とか宮参りの祝い着とか呼ぶ人の方が多いようです。 ですが、ワタシにはこの呼び方が1番しっくりきますので、ここでは「掛け着(かけぎ)」と書かせていただきますね。

掛け着・初着・産着とは

【きもの種類】掛け着(かけぎ)

着物備忘録:きもの>きもの種類>掛け着(かけぎ)

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男児の掛け着の柄と紋

正式な男児の掛け着は「紋付」で、夫方の家紋を五つ紋(両胸・背・左右の裏袖)入れます。

現代では、誂えよりもレンタルで済ませる方が増えてきた影響でしょうか? 最近では「紋が入っていない掛け着」も良く見かけます。  無紋の掛け着に「貼り紋」でそのお家の家紋を入れて・・・・・・ということをしている方もワタシはお見掛けしたことがありませんので、現代では「紋付」にこだわる方は少ないのでしょう。

掛け着の柄は、「かぶと・鷹」などの勇ましい柄や、「松・宝尽くし・末広」などのおめでたい柄で、柄付けは「熨斗目模様」になっているものが多いです。

◆五つ紋付の熨斗目模様の掛け着の例
熨斗目模様

※熨斗目模様=横に段になっている模様のこと(柄の配置の呼称)

呉服屋さんは、掛け着を「のしめ」と呼ぶと伺いましたが、男児の掛け着は「熨斗目模様」が定番であるからなのですね。

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女児の掛け着の柄と紋

女児の掛け着は、花・毬・御所車・鳥・束ね熨斗等の華やかな柄で、紋は入っていないことが多いです。

◆可愛らしい女児の掛け着
女児の掛け着の例

紋を入れる場合は、「一つ紋で、母方の実家の紋を入れることが多い」という話を聞きましたが、これは地域にもよるかもしれないですね。

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レンタル掛け着の紋

男女ともに、レンタルで紋付の掛け着をお借りする場合、双方のご実家が納得をしてくださるのでしたら、家紋とは違っていても構いません。  他の人が見ても、家紋が違うなんてことはわからないからです。

ただし、格やしきたりに細かいご親戚等がいらっしゃる場合は、気を付けた方が良いかもしれません。 「貼り紋」を用意するという手もありますが、 貸衣装だと貼れないこともあるかも?なので、紋の無いお衣裳を選ぶのが無難かもしれないですね。

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掛け着の「紐飾り」と背守り

掛け着の付け紐には、「紐飾り・付け紐飾り」と呼ばれる「お守り」の刺繍が刺してあります。

◆紐飾りの例
紐飾りの例
※紐飾りには、いろいろな伝統の「吉祥紋(縁起の良い柄)」があります。

ときどき「しつけ糸だと勘違いして、外してしまった」という方がいらっしゃるそうですが、紐飾りは「背守り」同様に子どもを守るおまじないの意味がありますから、 外さないでくださいね。

紐飾りの伝統柄はいろいろありますが、コレと決まった柄がある訳ではないので、もしも外してしまったら、簡単なデザインで刺しておくと良いですね。

◆これならできそう♪シンプルな紐飾りの例
紐飾りsimple

紐飾りと似たもので、「背守り(せまもり」という刺繍があります。 背中に縫い目の無い幼児の着物(一つ身)に入れる 魔除けの刺繍です。

縫い目の無い着物を着ると「背中から邪気が入る」という迷信があったため、背縫いの代わりになる縫い目を入れることで、子どもを災いから守るというおまじないをかけたのです。

掛け着も背縫いの無い一つ身着物なのですが、紋を入れる場合には、背守りは入れないそうです。

女児の着物は紋が無いことが多いのですが、柄が凝っているからなのか?背守りの入った掛け着を見たことがありません。 昔は入れていたのかもしれないですが~

昔の女性は、お嫁入で着た白無垢の着物を解いて、赤子のための産着に仕立て直し、「子どもが無事に・健やかに育つことができますように」と祈りを込めて「背守り」を刺繍したと聞きました。

素敵な話だなーと思いますので、もしも掛け着を誂える(または購入)することがあったなら、下着(襦袢)や肌着に刺してあげるといいかもですね♪

最近では着物に限らず、Tシャツやズボンのポッケに「背守り」を刺繍するのが人気となっているのだそうですよ。

ちなみに、総絞りや小紋柄の着物を仕立て直して「四つ身で掛け着を作る」ような場合には、背縫いがあっても「背守り」を刺したりするんですね。

紐飾りは縁起の良いモチーフを刺繍で表わしますが、背守りは「縦7針・斜めに5針」と12針(1年12か月を意味する)の糸じるし(糸飾り)を施すこともあるのだとか。

◆こちらのサイトさんで、とても素敵な四つ身の掛け着がご紹介されていました。
 >>女の子のお宮参りお祝い着に背守り!

紐飾りをする「付け紐」の付け方は、男児と女児で向きが違うのですが、背守りの縫い方も男女で違うそうです。 興味深い! 今度和裁の先生に、教えていただこうと思っています。

◆男女で違う付け紐の付け方
付け紐の向き

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掛け着の広袖(ひろそで)

お宮参りの掛け着は、広袖に仕立ててあります。

◆掛け着の広袖と七五三・3歳祝い着の袖
広袖

広袖は、袖口の下を縫い留めることをせず、袖底まで全部開いている袖の形のことです。

袖口にあたる部分に「袖口布」をつけずに、表布を輪にして裏を引き返した『大名袖(だいみょうそで)』になっていることも、掛け着の特徴です。

◆掛け着の大名袖(平袖:ひらそでとも言う)
大名袖

単衣仕立ての掛け着だとわかりやすいでしょうか?

    ・袖口側が全開=広袖
  • ・袖口が表地の返し=大名袖

単衣の大名袖・広袖

掛け着を3歳の七五三で使う場合は、広袖を袖綴じして使います。 詳しくは別途書きますね~

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掛け着の下着(襦袢)

掛け着の袖をのぞいてみると、お袖が3枚ございます。

掛け着の下着

中の白い着物を外すと↓こんな感じです。

掛け着の下着と襦袢袖

この白い着物は「下着(したぎ)」だそうで、中の青いお袖が「襦袢の袖」になるのだそうです。

襦袢の袖

留袖の場合は、下着が「比翼(ひよく)」となって2枚重ねしているように見せ、長襦袢はきちんと着ますけど。 掛け着の場合は、下着は着るけど、長襦袢は「下着の中袖」として、 なんちゃって仕様になるんですね~

掛け着+下着(中袖付)と重ねると、結構重くて・ぶ厚くなるため、写真館で写真撮影だけに使う際には、下着は抜いて使っていました。  下着がチラ見えしてしまう方が、写真的には見栄えが悪くなってしまうので、むしろ掛け着だけ掛けるほうが合理的であるからです。

 

宮参り(外出)で使う際には、きちんと下着を重ねないといけないのだろうなーと思っていましたが、温暖化が進む昨今なので、暑ければ外してしまっても構わないとのこと。

「蒸し暑い中、2枚重ねの袷の掛け着を羽織らせて赤ちゃんに負担をかけるよりも良い」という判断ですね。

掛け着1枚だけだと、袷仕立て(裏地付き)でも、かなり軽やかな感じになります~

掛け着1枚

下着は簡単に着脱できますので、臨機応変にお使いになってくださいませ!

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お宮参りの季節と掛け着

お宮参りの初宮詣では、必ずしも生後31日目(男児)や32日目(女児)にしないといけない訳ではありませんので、できれば真夏は避けたいところです。

ですが、どうしても7月8月に行う必要がある場合には、掛け着も夏用を選んでください。

◆夏用の絽の掛け着の例
絽の掛け着前
露の掛け着後

付き添いの祖母や母親が着物を着る場合にも、盛夏には「薄物(うすもの)」と呼ばれる夏用の透ける着物を着ることになります。  帯ももちろん夏用です。

厳密に言えば、6月9月は「単衣」という裏地の無い・透けない着物を着るのですが、掛け着に「単衣仕立て」はポピュラーではないので、中旬くらいまでは 袷(オーソドックスな裏地のあるタイプ)でも良いかと思います。 下旬だったら、絽でもいいかもしれないですね。

※フォーマル着物は、和服のしきたりにのっとることになっているので、このあたりの判断は、個人によると思います。

ちなみに「絽」というのは、「絽目(ろめ)」という小さな穴が横に連なっている生地のことを言います。 透け感のある夏用の生地です。

絽の掛け着
絽の掛け着の透け感

夏用の掛け着であっても、ちゃんと袖は3枚重ねになっていましたよ!

夏の掛け着の袖

フォーマルに使われる盛夏用の生地には、「紗(しゃ)」というものもありますが、紗の掛け着は見たことがないです。 あるのかどうか?と調べてみましたが、見つけることができませんでした。

レンタルでしたら、夏場は絽の掛け着を選ばれるのが良いと思いますが、誂える(購入する)場合には、普通の袷のタイプにして、下着を外して使うということで良いそうです。

夏限定の絽の掛け着は、その後使う場面が無い(可能性がかなり低い)からですね。

掛け着の下の赤ちゃんの服装や、洋服に合う掛け着風ケープについては、別のページでご紹介しています。 ぜひお宮参りTOPからご覧くださいませ。

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