衣紋抜き(えもんぬき)とは。衣紋抜きの使い方。

衣紋抜き(えもんぬき)ってどんなもの? 絶対必要? 使い方は?

衣文抜きと書いて「えもんぬき」です。 大人の女性の着付けでは、 首の後ろのカーブの部分を開けますが、この首の後ろの開きを作ることを「衣紋を抜く」と言います。

衣紋抜き

■目次(目的の場所に飛びます)

衣紋抜きは、無くてはならない「必要不可欠」な物ではありませんが、使うことに慣れてしまっているワタシにとっては「必要なもの」です。  衣紋抜きがあった方が、キレイに着れるし・衿も詰まりにくい(広がりにくい)と思っています。

ということで、「衣紋抜きについて」とおすすめの付け方・使い方についてご紹介させていただきます。


 

衣紋抜き(えもんぬき)ってどんなもの?

衣紋抜きは、着崩れして「衣紋が詰まる(衿が上に上がって開きが狭くなる)」のを防ぐために、長襦袢に付ける「布」のようなものです。 衣紋抜きに 胸紐を通しておくことで、衿が固定されて動きにくくなるのです。

衣紋抜き

衣紋抜きは、衿を抜くためのアイテムなので、男性の襦袢や子どもの長襦袢には付けません。 男性や子どもは、衿を詰めて着るのが 一般的で、衣紋を抜く必要が無いからです。

じゃあ女性の着付けの場合には、衣紋抜きを必ず付けるかと言うと、そんなこともありません。 女性の着物は、肩山よりも衿が後に繰れるように (衣紋が抜きやすいように)『繰り越し』を取って仕立てますので、実は、衣紋抜きを付けなくても衿が繰れる(抜ける)ようにできているのです。

※繰り越し寸法は、お好みで決めます。 昔は5分が一般的だったそうですが、最近は7分が多いそうです。 
繰り越しを多く取ると、肩山を後ろに落とさなくても衣紋が開きます。 ですので、はんなりと着たい方は繰り越しを少なめにして肩を落とす。  逆にきっちりと着たい方は、多めに繰り越しを取ると良いそうです。 誂える際は、呉服屋さんや和裁師さんとご相談になってみてください。

ところが、この繰り越し寸法が体型に合っていなかったり、着方(着付け)がまずかったりしますと、着ているうちに衿が詰まってしまったり、逆に 大きく開いてきちゃったりすることがあるんですね~

不思議なことに、着物を着ていて衿が詰まりやすい人と、逆にどんどん抜けてきちゃう人がいるのです。 どうやら肩の付き方 (なで肩・いかり肩や、肩骨が前付き・後付きなど)の体型によるものらしいのですけど。

衣紋抜きを付けることで、そうした着崩れを多少軽減することができますし、崩れた時に直しやすくもなりますので、ワタシ自身は「衣紋抜き」を付けるようにしています。

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衣紋抜き(えもんぬき)の付け方

独立した衣紋抜きを付ける場合には、半衿を掛ける際に「衣紋抜きが背中心にくるように」半衿に挟み込んで一緒に縫います。 その際、先に襦袢に衣紋抜きを縫い付けて おいて、その上から半衿を掛けるようにすれば、半衿だけ取り外して掛けかえることができます。

■独立した「衣紋抜き」を半衿の下に付けた例
衣紋抜き

■「衣紋抜き」は自作もできます。紐を縫い付けた衣紋抜きを付ける例
半衿と衣紋抜きを縫う

上の写真で、衣紋抜きの紐(または、通した紐)が「身長の10分の1」の位置にくるようにと書きました。 163㎝のワタシの場合は、 半衿のキワから紐まで長さが、16.3㎝になるように付ける感じです。

着物の衣紋の抜き方は、年齢・体型・着る着物によって少し違いますので、「身長の10分の1」を目安に調節をして付けてください。

  • ・若い人は、衿合わせを詰めて衣紋をVに深く抜く。
  • ・年配の人は、衿合わせをゆったりさせて、衣紋をUに大きめに抜く。
  • ・フォーマルは、衿合わせを詰め気味にして、衣紋を多めに抜く。
  • ・普段着は、衿合わせをゆったり目にして、衣紋はほどほどに抜く。
  • ・ふくよかな人は、衿合わせはゆったり。衣紋も多めにゆったり抜く。
  • ・痩せている人は、衿合わせを詰め気味にして、衣紋も細めに加減をして抜く。

※袴の着物の衿は、本来あまり抜きませんが、最近は振袖と同じくらい抜かれる方もいらっしゃいます。 振袖よりは、少し 控えめに抜くと良いと思います。 ハーフアップの場合は、衿が髪型の邪魔にならないように、詰め気味が良いです。

衿がファスナーになっていたり、既にキレイに縫いつけられていて解くのは憚られる場合には、衿のキワに縫いつけると良いと思います。 必ず背縫いの上(背中心)に 衣紋抜きがくるように付けてください。

衣紋抜きの付け方・衿ファスナー


 

衣紋抜き(えもんぬき)使い方。

衣紋抜き(えもんぬき)使い方は、簡単。 胸紐をループに通して締めるだけです。

誰かに着付けをしてあげる際には、前から紐を合わせて、後ろで紐を交差させる際にループに通すことが多いですけど。

衣紋抜きの使い方

自分で着物を着る際や、一人着付け(相方がいない)場合には、あらかじめ2つ折りにした紐をループに通しておいて、前で輪に1本通してから締めると 楽です。

衣紋抜きの用意が間に合わない時には、下の写真のように長襦袢に直接ループ(紐通し)を付けてしまうという手もあります。 この場合も、紐通しの位置が「身長の10分の1」目安に なるように付けると良いと思います。

衣紋抜きの例
胸紐と衣紋抜き

夏用の薄物など、透ける着物に合わせる長襦袢も、衣紋抜きはループタイプにしてください。 背縫いに衣紋抜きが映ると格好悪いです。

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普段用の長襦袢におすすめ「装道・美容衿」の衣紋抜き

頻繁に半衿を洗濯する「普段用」の長襦袢におすすめなのが「装道・美容衿」です。 衣紋抜きもあらかじめセットで縫い付けられています。

装いの道の美容衿(仕立て衿)は、着物に縫いつけやすく・衿もキレイに決まります。

美容衿の衣紋抜き
衣紋抜き美容衿

専用の「装いの道美容ランジェリー」とセットで使えば、衿を縫い付けることなく、 乗せるだけで「嘘つき長襦袢」として使えるので、半衿の手入れがメチャメチャ楽になるという優れものです。

■「装道美容ランジェリー」

衣紋抜きの機能としては同じなので、頻繁に半衿を外す必要のないフォーマル用の長襦袢の場合には、安価な衣紋抜きを付けるだけで大丈夫です。

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